新宿幻想
2007年 06月 20日
歩いて、新宿駅まで30分くらい。
安易に地下道へ降りたら、見事に道に迷った。ケータイのGPS機能も使えず、「仕方ないな」と思いつつ、久しぶりの迷子を楽しむ。
ふと、懐かしい匂い。アルコールを含んだ吐瀉物と、安い香水と汚物の混じり合うあの匂い。十代の頃、片道2時間半かけて毎日通っていた、これが新宿の匂い。脳神経がビリビリ振動を起こしながら千切れた回線が突然つながり、背の高い若者が僕の目の前に現れた。
〈ついて来いよ〉と、彼はあごを突き出し、無言で僕をナビゲートする。低い天井から突き出ている障害物を避けながら、早足の彼を見失わないように追いかける。
と、見覚えのある風景。僕の脳みそは完全に彼と入れ替わり、足が勝手に通い慣れた地下道を進んでいく。
「この先、右折。階段を下りて、改札口を通り過ぎ、コインロッカーの前を直進……」
気づくと、僕は昔通っていた学校の前に立っていた。同じ景色……でも、何かが違う。
14年の歳月を積み重ね、成長し、摩耗し、ひび割れ、ふやけた自分。
「あぁ、ここだったんだ」
その瞬間、僕は自分の夢を取り戻したように感じたが、多分それはいつもの幻想だったかもしれない。
安易に地下道へ降りたら、見事に道に迷った。ケータイのGPS機能も使えず、「仕方ないな」と思いつつ、久しぶりの迷子を楽しむ。
ふと、懐かしい匂い。アルコールを含んだ吐瀉物と、安い香水と汚物の混じり合うあの匂い。十代の頃、片道2時間半かけて毎日通っていた、これが新宿の匂い。脳神経がビリビリ振動を起こしながら千切れた回線が突然つながり、背の高い若者が僕の目の前に現れた。
〈ついて来いよ〉と、彼はあごを突き出し、無言で僕をナビゲートする。低い天井から突き出ている障害物を避けながら、早足の彼を見失わないように追いかける。
と、見覚えのある風景。僕の脳みそは完全に彼と入れ替わり、足が勝手に通い慣れた地下道を進んでいく。
「この先、右折。階段を下りて、改札口を通り過ぎ、コインロッカーの前を直進……」
気づくと、僕は昔通っていた学校の前に立っていた。同じ景色……でも、何かが違う。
14年の歳月を積み重ね、成長し、摩耗し、ひび割れ、ふやけた自分。
「あぁ、ここだったんだ」
その瞬間、僕は自分の夢を取り戻したように感じたが、多分それはいつもの幻想だったかもしれない。
by t0maki
| 2007-06-20 02:28
| 乱文・雑文
|
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