東京ビエンナーレのシンポジウム
2025年 10月 18日

シンポジウム「新しいアートの国際協働に向けて:トランス・ビエンナーレの試み」を聴講しました。
モデレーターの毛利さんをはじめ、東京ビエンナーレ総合ディレクターの中村さん、韓国出身のチェ・ビナさん、アルゼンチンとノルウェー出身のメチュ・ラペラさん、ベトナム出身のチュオン・クエ・チーさんとグエン・フォン・リンさん、そしてスウェーデンからオンラインで参加したマリーア・スヴォンニさんが登壇し、3時間にわたり「アートとビエンナーレ」について語り合いました。
自分としては、今回のシンポジウムにはふたつのキーワードがあったと感じました。ひとつは「ソーシャル・ダイブ」。そして、もうひとつは「トランス・ローカル」。
「ソーシャル・ダイブ」とは、Social Engagement Artをさらに深めたもの。単なる地域との交流ではなく、その場所や人々の中に“飛び込んでいく”という姿勢を指します。もうひとつの「トランス・ローカル」は、「ローカル」と「インターナショナル」との関係や、先住民アートの視点にも話が広がりましたが、どちらも本質的には“地域に根ざしたアート”であると感じました。
では、「作品を展示して終わり」ではない、そして「一過性のイベント」に終わらないアート活動を、どうすれば地域に根付かせることができるのか。聴講しながら、自分なりに考えてみました。
僕は、その方法には二つのアプローチがあると思います。
ひとつは、「種をまく」方式。
アートの空間をつくり、展示やイベントを行い、コミュニティを醸成していくやり方です。
方向性を自由に決めやすい反面、予算や人員、参加者のモチベーションなどの問題から、「種はまいたけれど育たなかった」というケースも少なくありません。
もうひとつは、「接ぎ木する」方式。
すでに存在する仕組みやコミュニティ、施設、建物などを活かし、その中にアート活動を根付かせていくやり方です。
この方法を見事に実践しているのが中村さん。
元中学校をリノベーションして「3331 Arts Chiyoda」を立ち上げたり、元額縁店「優美堂」やYシャツ店を再生させてアートの拠点にしたりと、地域の文化や空間を引き継ぎながら新たな活動を展開しています。
東京ビエンナーレも、まさにそうした“地域に根ざしたアート活動”のひとつ。2年に一度の開催で、今年で3回目を迎えます。
12月までの会期中、さまざまな会場で多彩な作品やプロジェクトが展開されていくとのこと。
これからも少しずつ訪ね歩きながら、その広がりを体感していきたいと思います。


by t0maki
| 2025-10-18 00:00
| アート
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