かわいそうな鬼
2025年 10月 05日

さっきまで和装の鬼を演じていたのだが、着物を脱ぎ、付け髭を外し、メイクを落として髪を直したら、鏡の中には見慣れた五十代のサラリーマンがいた。疲労の色が濃く、目の下の隈も濃い。先月は、過労死ライン超えまで働いていた。鬼は鬼でも、仕事の鬼か。はたまた、休日出社のオフィスの亡霊か。
別にスポットライトを浴び続けたいというわけではない。ただ、非日常という舞台の中にしばらく身を置くと、その余韻が身体に残る。現実の空気にうまく調子を合わせるまでに、少し時間がかかるのだ。
おとぎの国から出られなくなった、かわいそうな鬼。
by t0maki
| 2025-10-05 23:31
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