『檸檬』の文庫本をリメイクしてグループ展に

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文庫本を持って旅をする。ちょっとした待ち時間などに読める、短編集がよい。お気に入りは、梶井基次郎さんの短編集。何度か旅先で読んでいた。

ある時、たまたまなんの文庫本も持たずに旅をしていたら、旅先で突然無性に梶井基次郎さんの『檸檬』が読みたくなってしまった。たぶん、「パブロフの犬」的な条件反射で、旅をしたら檸檬みたいなお約束が自分の中でできあがってしまっていたのだろう。いったん読みたくなると、我慢できない。どうしても読みたい。活字中毒者の禁断症状のような。とうとう、旅先の本屋に駆け込み、震える手で『檸檬』を買い、むさぼるように読んだ。

以来、旅と言えば『檸檬』という鉄板の組み合わせが自分の中で定着した。

さすがに最近は、スマホがあれば『青空文庫』でも読めるので、文庫本そのものを持ち歩くことは少なくなったが、前述のような理由から自宅に『檸檬』の文庫本が何冊もある。直近では、2022年に「限定版の特別カバーがついているから」という理由ですでに何冊も持っている同じ本をまた買い増ししてしまった。その美しい檸檬色のカバーを見つめて、うっとりしている。

今回、「MOTOYA Book・Cafe・Gallery」で『The Paperback Art』という文庫本をリメイクした作品を集めたグループ展に参加するにあたり、私はこの『檸檬』を作品にしようと決めた。檸檬色とは真逆の「サイアノタイプ」の青色を表紙にして、見返しと呼ばれる表紙の内側にある紙を明るい黄色にした。文庫本をリメイクするというワークショップを昨年横浜で開催していたので、ほとんどの材料はその時に用意していたもので賄うことができた。

開催期間は、9月5日から29日まで。

『The Paperback Art』
MOTOYA Book Café Gallery
東京都渋谷区初台2-24-7
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by t0maki | 2024-08-28 23:01 | アート | Comments(0)