撮影の帰り

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27時に撮影が終わり、衣装を着替えてメイクを落とし、東京に帰るバスに乗り込んだ時はまだあたりは真っ暗だった。

しばらくは撮影の興奮で目が冴えていたが、いつのまにか少しうとうとしていたようだ。目が覚めて、外の景色を眺めると、高速道路は濃霧に覆われていた。すぐ先にあるはずの道路が見えない。車間距離を測るための、50メートルおきの表示板も、すぐ近くまで来ないと見えてこない。つまり、視界が50メートルもない。

なんとなく、この世の始まりってこんな感じなのかもしれないと思った。生まれたばかりの世界。つい先程まで、撮影のセットの中でアクションシーンを演じていたので、なんとなく今も映画の世界の中にいるような感覚。

自分の周りの世界が、これから生まれようとしている。もうすぐ、50歳になる自分。ここからまた、自分の世界をつくっていくのだ。

姿勢を正して、窓の外を眺める。次第に霧が晴れ、朝日に照らされた景色がはっきりと見えてきた。

by t0maki | 2024-04-07 05:36 | Comments(0)