「震災100年、その時アートは」シンポジウム

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すっごいアクロバティックで、ハラハラドキドキするシンポジウムだった。「つくることが生きること 2023:震災100年、その時アートは」という、東京ビエンナーレのシンポジウム。
まず最初に吉見先生のキーノートからして、関東大震災における自警団や虐殺を扱った話で、めちゃめちゃ熱い石を鍋に落としたようなもの。そして、その後も1923年の地震と火災をテーマに、建築とアートの話が続く。ある意味至極まともな学術的シンポジウムの流れ。ここまでが第一部。
で、第二部は会場となっているエトワール海渡リビング館七階に写真展示をしている、写真家の畠山さんが2011年の東日本大地震における陸前高田について語る。この時点で、100年前の関東大震災は消え、さらに陸前高田以外は福島でさえもテーマから外される。それを追うように、中村さんの東北での震災関連のプロジェクトについての話。
このままでは、前半と後半の話が繋がらない。そこで、モデレーターの吉見先生がもう一度話を100年前の震災に引き戻す。流石の展開。
で、小池一子さんが最後に加わって、1923年の震災とはちょっと方向性の異なる戦時中の話を持ってくる。これはこれで素晴らしいお話なのだが、そこから震災に戦争を加えて、災害とまとめることで、話をつなげる。
19時スタートで20時半終了の予定が21時に伸び、最終的には最後にQ&Aと記念撮影も入れてまさかの1時間押し。それでもよく、この時間におさまったなと思った。吉見先生のモデレーション力に感動した。
そんな行き当たりばったりなおかげで、こんなにも面白い話がいろんな方向から聞けたので、かなり良いトークイベントだった。破壊と創造。ラディカル。写真で見せる、あるいは語る。軍国少女が書いたノート、Ars longa, vita brevis.おかしいと感じたことをおかしいと言えるかどうか。戦争や災害の苦しみなど、残しておきたいことをアート作品として残すこと。
1時間押しもなんのその。よく、あのトークの流れで最後着地したよなぁ。素晴らしい。
吉見先生、お疲れ様でした。かっこよかったです。
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おかしいことをおかしいと思っても、それを言い出せない空気って、まさにあのコロナ禍でのマスクだよね。それが、どれほど効くのかわからないけど。マスク着用、手洗い励行。軍国少女を笑うことはできない。
今日の会場で、マスクは1割くらいか。登壇者では、ひとりだけ。
これが、ポストコロナなのだな。

by t0maki | 2023-10-30 21:41 | イベント・スポット | Comments(0)