2人の恩師
2023年 11月 02日
僕が今こうしてアートの活動を続けていられるのは、2人の恩師のおかげ。
ひとりは、大学でVisual Foundationのクラスを教えてくれたハワード・ローゼンバーグ先生。もともと人類学を専攻する予定だった留学先の大学で、彼のクラスを受講したのがきっかけでアートのクラスを山ほど取るようになり、とうとうアート学部に転部した。もともと美術は好きだったが、それを自分のライフスタイルの一部にしてくれたのは、ローゼンバーグ先生のクラスがきっかけ。
もうひとりは、社会人になってからクリエイティブワークショップで10日間お世話になったジョン・ワーウィッカー先生。期間は短かったが、彼のおかげで自分の創造性を信頼できるようになった。作り続けて良いのだという、肯定感に繋がった。
こういう師との出会いって、すごく大事だと思う。
今日、DIC川村記念美術館で観た「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」は、この人の美術教育者としての魅力が伝わる良い展示だった。何色かの「四角形」を組み合わせた作品をしばらくじっと見ていたら、不意に彼の作品が理解できた。人間の視覚に訴えかける作品。じっと見つめていると、不意にその絵の色が変わる瞬間がある。単色の組み合わせが、不意に生き生きと踊り出す。これが面白い。
原理は、視覚の残像を利用したもの。すごくシンプルなのだが、この感覚的な色の捉え方を実際に色に落とし込むのはめちゃめちゃ難しいと思う。のっぺりとした色が、突然グラデーションに置き換わって、離れ離れにあるはずの異なる色が完全にシンクするという。これは、ぜひ見て体感してほしい。錯視を使ったトリックアートのようなものではあるのだけど、これを色の感覚だけで作れるのはすごい。
色は、基本的に市販のものをチューブからそのまま出して使うらしい。パレットナイフでボードに直接塗り込んでいく。いや、すごいな。色を塗り、さらにバーニッシュで仕上げるのだが、その最終的な発色を確認するためのテストピースが会場にいくつも展示してあった。
この人の色彩感覚、いったいどうなってるんだろ。
今日、この展示を見にくることができてよかった。
by t0maki
| 2023-11-02 22:18
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