みんなの違いを受け入れて共に生きる

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口の動きだけで「たまご」と「たばこ」を聞き分けることができるか?口や顔の動きだけで、話している内容を理解するということ。「口話法」と呼ぶそうだが、僕らみたいなスパイ映画世代には「読唇術」の方が耳慣れしている。

音のない世界。

音がないから、会話ができないというのでは決してなく、音以外の文字であったり、口や顔の動きであったり、あるいは手話でも会話ができる。音のない世界で生活している人の割合は、発行されている障害者手帳の数で言うと0.2%であるらしい。500人に1人が、音以外を母語としていることになる。

話す、書く、聴く、読む。言葉のコミュニケーションには、この四つの要素がある。視覚による読み書きができない人のために、点字がある。聴くことが苦手な人には、手話。

もし、両親が聴覚によるコミュニケーションができない人であったとしたら、その子供は必然的に両親とは手話で会話をするようになるだろう。

Childern of Deaf Adults、略してCODA(コーダ)。今回の、OCAでの上映会とトークイベントのテーマである。今回登壇された尾中友哉さんも、そんなろう者の両親を持つ、耳の聞こえる子どもとして育った。子供でありながら、両親に代わって電話を受け、両親に手話で伝え、通訳をする。音のある世界と、音のない世界を繋ぐ、橋渡し的な存在。

映画『コーダ あいのうた』でも、耳の聞こえない両親と兄のいる家族の一員として、自分の夢と家族との間で葛藤する様が描かれている。

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少数派の人たちを受け入れ、多様性を尊重する社会をつくろうと努力している。数十年前に比べると、だいぶ良くなって入る。ただし、やっぱり壁はある。お互いをもっと理解するには?

トークイベントの中で、音を使わない「視覚身体モード」のワークショップを行った。簡単なジェスチャーゲームのようなものだが、意外と奥が深い。会場の参加者に、3パターンの写真のうちのどれかが渡され、声を出さずに同じ写真同士の人たちが集まることができれば成功。私が受け取った写真は「卵」で、わりとスムーズに集まることができた。他に「ヒヨコ」と「ニワトリ」のグループがあり、ヒヨコの人がニワトリのグループに入ってしまうなど、ミスコミュニケーションがあったのも興味深い。

手話に限らず、外国語を身につける時にまずは「ありがとう」や「すみません」などといったよく使う言葉を身につけると良いということ。そこで我々も、感謝と陳謝を表す手話を覚えた。手の動きだけ真似するのは、なかなか覚えるのが難しいが、相撲の懸賞金を受け取る手の動きだと教えてもらうと覚えやすい。謝る時も、眉間の皺を表現してからの手の動き。

ちなみに、お礼を言う時に土台となる腕の向きを間違えると、「半分」という意味になるそうだ。手話、面白い。

人と違うと言うことが引け目になるのではなく、それが個性として受け入れられるような世の中になれば良い。それは、身体的特徴だけでなく、考え方や性格なども含めて。世の中には、いろんな人がいる。いろんな人がいて良いのだと思う。

by t0maki | 2023-09-10 09:47 | Comments(0)