自販機のお釣り

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北千住のBUoYで、『恩送りアートカフェ』という実験的なアートプロジェクトをやりました。500円で作品を販売して、売れたお金をそっくりそのまま次に来る見知らぬお客さんにコーヒー代として渡すという企画。「恩送り」をテーマにした体験型のアートプロジェクトです。

実際にこのプロジェクトをやってみて、お釣りがたくさん必要だということに気づきました。500円で販売する時に、1000円札を渡された場合は、作品を買った人に500円のお釣りを渡すのと、さらに次に来るお客さんにも500円で渡さなければならい。というわけで、わりとたくさんの500円玉(もしくは100円玉)のお釣りを準備する必要がある、と。

というわけで、作品を販売した初日の帰り道、自販機でお釣りをゲットすることにしました。
1,000円を入れて、100円のドリンクを買い、そして900円のお釣りをもらう、と。
手ごろな自販機を見つけて、財布を取り出して中を見たら、千円札が残りあと1枚しかなかった。

「あー、これは小銭お釣りをゲットする間に、1万円札をどこかで崩さないとだなぁ」と思いながら、千円札を自販機に挿入。
100円のドクター・ペッパーのボタンを押す。缶が落ちる音と、チャリン、チャリンと小銭が出てくる音がする。

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釣銭口を見てみると、100円玉が4つしかない。「あれ?500円足りない……」
せっかく、お釣りが欲しくてドリンクを買ったのに、肝心のお釣りが足りないとは。
自分が入れたお金が、500円でないことは明らかだ。ドクペは好きだが、いくらなんでも1缶600円は高すぎる。

自販機の「故障・お問い合わせの際は」という案内が書いてあるステッカーをスマホで写真に撮る。
電話での受付は、当日の17時まで。あいにくその時刻は過ぎている。

というわけで、翌日以降電話をしようと思ったが、ついつい忘れてしまう。
そして、その自販機の前を通る時だけ思い出す。けど、ついつい電話しそびれて、あっという間に一か月経ってしまった。

もう、500円は戻ってこなくても良いのだが。なんか、その自販機の前を通るたびに思い出すのももやもやするので、手紙を書いて出すことにした。問い合わせ窓口のカスタマーセンターへ。わりと長文の手紙を。

今のところ、特になにも返事は来ていない。そもそも、返事が来るのかは分からない。
でもまぁ、手紙でそれを伝えたことで、自分の中では一区切りついたので、これはこれでもう良いかな、と。

今回のアートプロジェクトで、僕は60人以上の方に500円の作品を販売して、それをまるっとそのまま見知らぬ人にコーヒー代として渡した。
それは自分の意思で渡したものだから、全然気にはならない。

でも、自販機に勝手に500円取られたのは、なんか気になっちゃうんだよね。それはきっと、自販機の持ち主に気づいてもらえないから。機械の向こう側にいるであろう人たちは、僕の存在に気づいていない。そしてまた、自分と同じようにここで500円を失う人が出てくるかもしれない。

なのでまぁ、1か月以上経ちましたけど、手紙で伝えられて満足、と。
500円が戻ってくるかどうかは、もうあまり気にならない。


by t0maki | 2022-07-16 12:16 | Comments(0)

書くこと、つくることが好き。旅をしながら写真を撮ったり、製品レビューをしたり、思いつきでいろんなところに飛び込んでみたりします。英語と走ることが得意。

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