色の記憶
2022年 06月 23日
あぁそうか。リンゴのイメージなんだな。
白黒の写真をAIに着色してもらったら、こんな色になった。
学生時代の、陶芸作品。もっと淡い、地味な色の釉薬だったと思うけど、白黒でしか残ってないので、ホントの色は覚えてない。ただ、本焼きでこんなに鮮やかな赤は出ないってことは知っている。ひび割れの奥から、鉄を含んだ赤黒い素地が見えていたことだけは鮮明に覚えている。
自分にとって唯一のパフォーミングアートというか。みんなの前で、作品を壊すというパフォーマンスをした。陶芸作品を破壊しつつ、土の粉を撒きつつ。
それから何年か経って、アメリカから離れる直前に、同じことをもう一度やった。今度は、観客なして。砂漠の湖のほとりで、ただ作品を壊すだけ。企画する際に持って帰れなかった作品をそこで成仏させるために。
気まぐれに、ひとつだけ作品のカケラを木の根元に埋めた。
日本に帰って、就職して、さらに転職して、今の嫁さんと出会って。結婚する前のプロポーズは、僕が学生時代を過ごしたリノで。ティファニーの指輪を買って、砂漠のほとりで正式に結婚を申し込んだ。
砂漠のほとりの、木の下で。記憶を辿って、見覚えのある木の根元を掘ってみる。あっけなく、自分の作品のカケラが見つかった。
そんなわけでまぁ、壊した作品のカケラを取り戻して、僕は「日曜アーティスト」としてずっとこうして趣味の創作活動を続けている。
今月はずっと、北千住のBUoY Caféで、滞在型のアート制作と実験的な恩送りのプロジェクトをやってる。100点以上の作品をつくって、これまでに50人の方が参加してくれた。
次の土曜日、6月25日が最終日。
この記事で紹介した二つの版画作品も、そこに展示、販売している。500円で作品を販売し、もし売れたらそのお金が次に来る見しらぬお客さんのコーヒー代になるという企画。実験的な企画なので、試行錯誤をしながらここまで来たが、なんとか形になって良かった。
最終日は、13時から18時に開催予定。
いくら売っても、自分のところには1円も入っては来ないのだが、これもまた楽しい遊びの企画。
by t0maki
| 2022-06-23 18:56
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