素敵な映画を観たいのです

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「スパイの妻」という映画を観てきました。映画館で邦画を観るのはとても久しぶり。面白かったですよ。

もともと、テレビで放映されたドラマを映画版にサイズと色を変えたものらしいですね。で、海外の賞を受賞したり。

日本っぽい映画。どちらかというと、女性向けかも。こういうジャンルの小説、ありますよね。ロマンス系の。

社長の奥さん、果たして旦那はスパイなのか?っていう。その答えは、どちらともとれる。僕と、一緒に観た嫁さんとでも、解釈の仕方が変わったり。それで良いのだと思います。観る人によって、感じ方が変わる。

蒼井優さんの、昭和の女優さんっぽい演技がちょっと面白かった。めっちゃ、ハマってる。黒柳徹子さんのようなちょっと高いトーンの声で「あーら、そうじゃありませんのよ」みたいな口調の。ユリヤンさんが得意そうな、あの喋り方。

高橋一生さんは、自然な演技でとても上手ですね。それに反して、東出さんは舞台演技みたいな、間をためる感じで。この2人がやりとりすると、東出さんのとこで微妙な間ができてしまって、ちょっとぎこちなくなる。高橋さんが、ちょっと待ちの状態になる。

でもまぁ、以前までの邦画って、役者さん全員が歌舞伎役者かってくらい、台詞の読み方とか、演技の仕方とか、それこそ見得を切るみたいなのがどうも鼻について観るに耐えなかったけど、最近はとても自然に演技できる役者さんも増えてきたように思います。まぁ、どちらも観る側の好みなんでしょうけど。僕は、自然な演技の方がストーリーに入り込みやすいです。

前にも書いたかもだけど、例えば「転ぶ」って演技は、単に転ぶだけだといかにもなわざとらしい演技になってしまう。本来、転ぶ演技ってのは、その前に転びそうになってからなんとか踏ん張ろうとして、それでも態勢を立て直すことができずにやむなく転んでしまうってこと。なので、転ぶ演技ってのは、転ばないようにする演技ってことなんですよ。転ばないように頑張ったけど、でもやっぱりいい仕方なく転んでしまった、と。原因と結果のような。作用と反作用のような。いきなり転ぶために転ぶのは、下手な演技です。

同様に、泣く演技も。なぜか、役者さんは泣く演技を要求される。すぐに涙が出る役者は、良い役者とされる。スクリーンで、これみよがしに泣く役者さんを見ると、僕は途端に冷めてしまう。あぁ、演技頑張ってるね、って思っちゃう。

ここでも、泣く演技ってのは、本来であれば泣くのを我慢する演技なはず。泣くのを堪えるけど、それでも耐えられずに泣いてしまうのが、本来の姿だと思うのですよ。なので、泣くのを我慢している姿がリアルであれば、実は涙が流れていなくても、悲しみが伝わってくる。その方が、リアルだと思うのです。

とか、確か以前も書いたことあると思うけど。演技論見たいの書いてるけど、僕自身は全く演技はできないけどね。ワインの味が分かったとしてもワインが作れないのと一緒。めんどくさい野次馬の意見ということで。

美味しいワインのように、素敵な映画を観たいと思うのです。

by t0maki | 2020-11-28 19:03 | Comments(0)