キットの中身は、ローストしたカカオと、砂糖。そして、チョコレートの型。
何気なく作り始めてみたら、めちゃくちゃ大変だった。なんかもう、修行のよう。
面白かったですよ。
両手の指で豆の真ん中らへんに圧力をかけて、「ギュッ」とすると「メリッ」と亀裂が入って、それで皮が剥けます。
あれに似てます。ピスタチオの割り方に。
ただ、ピスタチオよりは皮が薄くて、まんべんなくくるまってるので、ちょっと失敗すると中のカカオ豆もグシャっと割れます。
まぁ、最終的には細かく割るので、問題ないですが。
中で割れてしまったカカオ豆を皮と分離するのは、手間が増えます。
説明書きには40分くらいって書いてあったけど、思ったよりも時間がかかりましたね。
これ、豆の頭のところについてる、短い茎みたいな、芯みたいなものは取り除いた方が良いのかな?気づいたら取り除いてたりもしたんだけど、途中でめんどくさくなってそのままに。
うちは、最初にフードプロセッサーである程度細かくしてから、乳鉢を使ってすり潰していきました。
すり鉢とすりこ木を使うより、乳鉢の方がさらに滑らかにすり潰すことができます。……が、そのかわりめっちゃ時間がかかる。
最初、この粉がどうやったらチョコレートになるのか、全然理解できませんでしたよ。
乳鉢ですり潰しても、すり潰しても、いっこうにチョコになる気配がない。
粉は、ずっと粉のままなんです。
で、延々とひたすらすり潰した後、続いて湯煎をしながらまたすり潰し続ける、と。
すり潰した時に、ちょびっとだけヌルっとオイルっぽくなるのが分かってきて。それをひたすらひたすら何時間もやっていくと、ようやくちょっとぬめっとした感じにはなっていくんですよ。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、粉を練っていくことによってドロッとしてくる。
その行程がね、なんとも修行のような感じで。
気の遠くなるような時間を使って、ひたすらカカオ豆をすり潰していく。
大学時代、僕はアートを専攻して陶芸をやっていたんですよ。その時の、「菊練り」っていう粘土のこね方を思い出して、そんなイメージでひたすらカカオ豆をすり潰していきました。カカオ全体が、ゆっくり一方向に回転していくように、ちょっとずつちょっとずつ、カカオをすり潰していく。最小の動きで、職人のように、根気よく延々とすっていくと、自分の心が無になって、ゾーンに入ったような感覚に。
チョコレートづくりで、まさか悟りを開けるような心境を味わうとは思わなかった。
作り始めてから5時間後、ようやくドロリとなったチョコレートを、型に入れて冷やします。
いやー、長い道のりだった。冷蔵庫に入れるまで5時間と、その後冷やすこと2時間。
面白かったですよ。修行というか、苦行というか。とにかく、普段は体験できないようなことができました。
まさか、チョコレートづくりがこんなに大変だったとは。
手作りチョコって、たいてい出来あえのチョコを溶かして固めるくらいが定番だと思いますけど、こうやってカカオ豆から作るって、とんでもないですね。
今度お店でチョコレートを買って食べる時は、この経験を思い出して、おしいただくように感謝しながら食べると思います。
この手作りチョコセットは、嫁さんがカルディで買ってきたものです。セールでちょっと安かったらしい。
でも、作り方の説明をみたら、あまりに時間がかかるので旦那に丸投げだと!
ま、僕はこういうのやるの好きなので、良いですけどね。
チョコ、美味しかったですよ。こんだけ苦労してつくったらね。