今も続けている「置き土産」の企画は、1997年のシカゴのホテルがはじまりだった

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このとんでもなくボロボロなシカゴのホテル。僕はとても好きだったけどな。
なんかこう、映画とか小説とかに出てきそうな、いわゆるアメリカの都会にある安ホテルっていう雰囲気が。自分もなんか、物語の登場人物になったような気がしてね。

Tokyo Hotel (Chicago)

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この、15日間でアメリカを巡った時のホテルもたいがいボロボロだったけど、その後大学を卒業した後、ロサンゼルスで就職活動をしてた時のホテルもかなりボロボロだったなぁ。まさに、おんなじニオイのする部屋。ずっとその場所で、たくさんの人を迎え入れてきた、歴史であったり、文化であったり。

この旅を経験していたおかげで、安宿の雰囲気や使い勝手にも慣れていたので、あまり抵抗なくそこを拠点にして就職活動ができたし、無事に仕事を手に入れることもできたんだと思う。今となっては、貴重な体験。

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ボロボロの浴室。あちこち摩耗していたり、錆びていたり、剥がれかけていたり。
洗面台に鏡が付いていて、それを開くと裏側に棚がある仕組み。

その浴室の鏡の裏の棚に、そっと「石」を置いたんですよ。いわゆる、「置き土産」的にね。

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旅先で、こういった置き土産をするっていう遊びは、たぶんこの時に初めてやったんだと思う。最初は、何の気なく遊び心で。
それからだんだん、「置くもの」にもこだわりが出てきて。

今は、陶芸粘土で豆粒サイズの顔をつくって、それを陶芸窯で焼いて、素焼きの作品を「置き土産」専用に使っています。
時々、旅先でそっと置いてくる、と。一時期、ガラケーのGPSを使ってその場で位置情報を記録する仕組みなんかもつくってみたけど、今はもっと緩い感じで、ただなんとなく、そこに置くだけ。

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いつか、この作品と再会するかもしれない。あるいは、誰かが見つけて拾ってくれるかもしれない。

1997年1月1日に、シカゴに置いてきたこの石は、今頃どこにあるんだろうか?


by t0maki | 2020-05-30 14:43 | アート | Comments(0)