史上最悪のいたずら #15分フリーライティング
2019年 03月 06日
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ネバダ州の砂漠の真ん中にある大学で、陶芸彫刻を専攻してた。焼き物で作品を作るときに、オリジナルの釉薬を調合する。長石、珪石、石灰石の粉をベースに、そこに金属化合物を加えることで発色する。
酸化鉄は赤茶けた色に。酸化カドミウムは青系の色。緑は、なんだったかな。銅は効果で使えないのと、鉛は毒があるので使えず、なにかそれに変わる薬品があったはず。ぼくのスペシャルカクテルは、酸化鉄と氷晶石を加えたもの。焼成中にガスが発生して、釉薬からブクブクと気泡が生まれ、表面が錆びついたような質感になる。陶芸の釉薬室にある薬品を全てテストしてみて、たどり着いたぼくだけの釉薬。
ある日、自分では気づかなかったのだけど、酸化鉄を床にこぼしてしまっていたらしい。自分のシューズの靴底にそれが付着して、そのままアート学部棟を歩いたら床に赤い粉の足音が付いてしまった。
で、その足跡を踏んだ学生はその赤い足跡を広げてしまい、スタンプのようにペタペタと廊下中に赤い足跡が広まっていってしまった。
故意にやったわけではないので、いたずらではないんだけど、その赤い足跡の広がり方が面白くて、それ自体がアート作品だなと思った。
結局、僕が最初にやったのはバレてしまって、怒られはしなかったけど、掃除をするためにその赤色がなんなんのかを詳しく質問された。
そんな思い出。
by t0maki
| 2019-03-06 11:42
| アート>もの書き
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