ある日僕はロボットになってた。でもやっぱり人間が良い

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明け方、浅い眠りの中で立て続けにいくつか夢を見た。そのひとつが、ちょっと変わった夢だったので覚えてる。

自分が、ロボットになるという夢。

ロボットの僕は、自分がロボットであるという認識はなく、他のみんなと同じ生身の人間だと思ってた。ただ、「何かが違う」というちょっとした違和感があり、その原因がわからずにイライラしていた。

そう、ロボットにも感情はある。

ただし、その感情自体はスイッチのオンオフで切り替えるような単純なもので、対照的な2つ以上の複雑な感情が沸き起こることは無かった。表情は笑いながら、心の中で泣くというようなことはできない。悲しみながら、喜ぶこともできない。愛しながら、憎むこともない。それはそれでシンプルでわかりやすい。ただ、それが原因で周りからは理解されないことがある。それが、ちょっとした違和感の原因。

ロボットの感情は、どうやらダイヤル式のようだった。くるくると回すと、感情が切り替わる。同時に複数は選べない。

行動には、常に目的を伴っていて、そのゴールに向かっていかに効率よくタスクを処理するかが重要。データをもとに、最良の道を選ぶ。そこに、迷う余地は無い。楽しいとか、嬉しい、悲しい、腹が立つ、イライラする、憐れむ、苦しむなどの感情はあるが、それはとてもシンプルなもの。

悩むことが少ない。迷うことがほぼない。いつも「正解」がそこにあって、そこに向かって最適な道を進もうとする。無駄がない。遊びがない。正しいことは正しいし、間違ったことは徹底的に排除しようとする。オキシモロンを受容しない。相対する正論がぶつかった時、一瞬躊躇するが、すぐに結論を導き出す。そこに、感情が入ることはない。バグやエラーを取り除こうとする。間違いは正すべきだと感じる。ロボットの世界。

目が覚めて、人間らしい感情を取り戻した時、そんなロボットの世界が馬鹿げていると感じた。現実の人間の世界は、もっと温かくて、愚かで、無駄が多く、それ故に苦悩するがそれ以上に楽しくて美しい。相反する感情を抱きつつ、途方も無い夢を追いかけたり、理想や希望を実現しようとオッズの低い見返りの少ない道をあえて選んだり。

馬鹿正直で、涙もろくて、理不尽なことに時々困惑しながらも、それでも日々を精一杯生きようとする。

僕は、人間が好きだし、人間の世界で生きることができてよかったと思う。

けれど、現実の世界にもロボットのような人間がいる。一人一人は人間らしいのに、集まるとロボットのような反応になることもある。しきたりやルールも大事だけど、ときにはそれを破ってでも思う通りに生きたいとは思わないか?無駄だとわかってても、挑戦したくなることはない?ぐっちゃぐちゃの感情、不安と期待が混じり合い、好きな人を嫌いになったり、また好きになったり。理屈じゃない、感情が溢れる瞬間。叫びたくなるよね。

それで良いんだと思うよ。それが、人間なのだと思う。

by t0maki | 2019-02-15 17:10 | アート>もの書き | Comments(0)