ゾンビ

c0060143_23283452.jpg
久しぶりに小説っぽいものを書いてみた。超短編 マイクロ小説。

こんなやつ。

* * *

11月13日、僕はゾンビになった。

昨日あたりから、なんとなくちょっとおかしいなとは感じてた。一日中何も食べていなかったのに、食べてなかったことにすら気付いてなかった。食欲も、空腹感もない。今朝目が覚めて「あぁ、オレはゾンビになったんだ」とようやく理解した。

ゾンビになったからと言って、何かが急激に変わるものではなく、しばらくはこのまま普通の暮らしが続く。食事もするし、睡眠もとる。突然人に襲いかかることもなく、会社に行き、仕事をして、家に帰って寝て、翌日はまた会社に行く。

ただ、ゾンビになったことでだんだんいろんなものが希薄になってくる。記憶も、感覚も、だんだん薄れて行くのだ。脳みそは次第に石ころのように固く、萎縮してくる。皮膚は荒れ、髪は抜け、歯が抜け落ちる。大切な思い出がどんどん消えていくだろう。周りの仲間もどんどんいなくなっていく。

仕方がない。誰もが、いつかはゾンビになる。抗っても仕方がない。ゾンビにはゾンビの生き方がある。それを楽しめば良い。

楽しいと感じられる間は。

by t0maki | 2018-11-13 23:28 | アート>もの書き | Comments(0)

書くこと、つくることが好き。旅をしながら写真を撮ったり、製品レビューをしたり、思いつきでいろんなところに飛び込んでみたりします。英語と走ることが得意。

カレンダー