20年分のありがとう

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そう、夢と勇気を分けてもらったんだな。

渡米留学後に日本に帰ろうとしてたところを引き止めてくれた。もうちょっと、アメリカで頑張ることにした。君のおかげだよ。っていうか、あんたのせいだぞ!コネもツテも知り合いもいないとこでホームレスに片足を突っ込みながらの就職活動、めっちゃ大変だったんだかんな。ホント、ありがとう。

宝石の専門学校に行くって言ってたもんな。学校のパンフレットを見せてくれて。正直、卒業後の進路が決まってる君が羨ましかった。卒業式は一緒なのに、志の高さが僕と違いすぎてね、なんか眩しかった。僕は、アメリカで就職活動をしてみたけど、結局うまくいかなくて、日本に帰ろうと思ってた。なんか、すげー情けなかった。悔しかった。でも、どうしようもなかった。

卒業の6週間前に君は事故で亡くなって、僕はうろたえ、途方にくれた。神様が、死なせる相手を間違えたんだと思ったから。社会に必要とされてない僕こそ、死ぬべきだと思ったんだよ。全くもって、納得がいかなかった。

君のいない卒業式のあと、僕は予定を変更してもう少しアメリカに残ってジタバタすることにして、西海岸を職探しの旅に出た。車とか、安ホテルで寝泊まりしつつ。破れたジーンズと、スキンヘッド。左耳にはピアスの東洋人が、卒業のオマケでもらった1年有効の就労ビザを持って、「仕事くれ」っていきなり訪ねても、そりゃ無理だよな。

案の定、就職活動は難航。

そろそろ本気で路上生活を覚悟しなければならないタイミングで、奇跡的に仕事が手に入った。宝石デザイン会社で、商品の写真を撮る仕事。なんかこう、分かりやすく導かれた感じで、笑っちゃうよ。職場の本棚から、あん時見せてくれたパンフレットが出てきたぞ。裏でなんか、手を回しただろ?

あれからちょうど20年。僕は、頑張っているよ。アメリカ西海岸を仕事を求めて飛び込んだ時と同じく、今でもいろんなとこに飛び込んでる。辛いことや失敗も山ほどあるけど、あの20年前の苦労に比べたら全然楽勝。

見ていてくれてるかな?

ありがとう。





by t0maki | 2018-08-20 15:42 | Comments(0)