図書館の親子
2018年 07月 20日

父親は僕の隣に座ってるが、子どもはどこか離れた席で勉強をしているらしい。
父親のところへ、その子どもが血相を変えて走ってきた。
「自転車を盗まれたかもしれない!」
かなり焦っているらしく、周りにいる僕らにもダダモレの声量で話している。
「自転車が見つからない。もう一回見てくるね」と、その子は階段を駆け下りていった。
ちなみに、ここはこの図書館の最上階の5階。
しばらくすると、またその男の子が駆け込んできた。
「自転車見つかった!でも鍵が付いてない。鍵を盗まれたかもしれない」
「席の周りは探した?トイレ行った?」と父親。
「今日はトイレ行ってない。席の周りにもない」
「受付の人に、落し物が届いてないか訊いてきなさい」
子どもは、階段を駆け下りていった。
しばらくすると、また子どもが駆け込んできた。
「そういえば、自転車の鍵はロッカーに入れてたんだ。でも、ロッカーの鍵が見つからない」
こうなってくると、僕もこの親子の会話が気になって仕方ない。
自転車が盗まれたと思ったら見つかって、鍵が無いと思ったら勘違いでロッカーに入ってて、で結局ロッカーの鍵を失くしたらしい、と。
「トイレに落としたんじゃない?」と父親。
「今日はトイレ行ってない」と答える子ども。
(その質問、さっきもう聞いた)と心の中で突っ込むオレ。
「受付に、もう一回行ってくる」と、また男の子は走っていった。
その間に、お父さんはお母さんにスマホで連絡。
しばらく経って、そろそろまたあの男の子が戻ってくるかな、と思ったら、やっぱり来た。
「とうちゃん!ロッカーの鍵、見つかった!」
「よかったじゃん。どこにあった?」
「とりあえず、見つかった」
「まぁよかったよかった。母ちゃんに伝えとかないと」
その瞬間、周りにいる図書館利用者全員が(よかったねぇ)と心の中で思ったに違いない。
それにしてもこの男の子、せっかく図書館に来たのに、全然勉強がはかどってない。
by t0maki
| 2018-07-20 13:07
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