何をモチベーションにして進むのか

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困難に立ち向かおうとすればするほど振り回され小突き回されボディーブローを放たれ続けるサンドバッグ状態になったり。頑張って夢を追いかけろと言うけど、現実は、努力が必ず報われるなんて、そんな甘い世界じゃない。むしろ、頑張れば頑張るほど、良いように利用されて消耗していく。それがわかってても、懸命に努力し続け、走り続けるしかない時もあるのですよね。

さて。

先月、20年ぶりにロサンゼルスを訪れた。大学卒業後、ほぼホームレス状態でアメリカ西海岸をあてもなくさまよいつつ「職探しの旅」をしていたのが、今からちょうど20年前なのです。リトルトーキョーの安ホテルを拠点にして、ロビーの公衆電話から求人広告の応募をしていた。その電話が鳴るたび、部屋からダッシュしてロビーに駆けつけて電話を取るか、たまたまロビーに居合わせた人が電話を取り次いでくれるシステム。安宿ならではの、協力システム。

約1ヶ月に渡る僕の「職探しの旅」は、ダウンタウンの宝石デザイン会社で写真の仕事を手に入れたところで、一応完結するのだが、実は、現実はそんなに甘くはなかった。最初の給料を手に入れた時、全財産の残りがわずか200ドル。これはもう、日本に帰るための片道チケットも取れない状態。本当に、路上生活の一歩手前だったのだが、仕事が手に入って安心したのも束の間、所持金が完全に底をついて、銀行の預金残高がマイナスになったのは、就職してから2ヶ月後だった。いわゆる、ワーキングプアの状態。仕事が手に入ったことが嬉しくて、給与条件なんか全然確認してなかった、相場もよく分からないから、普通に言われるがままにサインした。

ある日、リトルトーキョーの本屋で立ち読みをしていたら、「搾取される日系人労働者」みたいな特集記事があり、「最悪の労働環境で不当に働かされる、可哀想な日系人労働者」の事例が3件掲載されていた。よくよく読んで見ると、その可哀想な3件のうち、2件は明らかに当時の僕より待遇が良い。その時、「あれ?マジか」と思った。「オレって、可哀想な労働者なの?」と。

仕事は、割と気に入ってた。毎日、高価な機材に囲まれて、これまた高価な宝石アクセサリーを次々と広告用に撮影する仕事。カメラのマニュアルはあるけどそれに頼らず、よりよい写真が撮れるように工夫していた。毎日、仕事は楽しかった。今まで、大学でお金を払って学んでたことを、お金をもらって仕事にできる喜び。それで十分。

まぁ、さすがに定職についたのに所持金が底を突いたのは辛かったけど、それは免許の更新など、予想外の出費が重なったせい。ひどいんだよ、アメリカのDMVっていう免許センター。外国人だと見くびって、ちっとも免許を発行しない。IDにさえならない紙のぺらぺらの仮免許を延々と渡してくる。あれば絶対にわざとだね。ビザのステータスのせいだと思う。今でも、あの体験を思い出すと嫌な気分になる。まさに、大都会ロサンゼルスを象徴するようなお役所の態度だったから。

ま、それは置いといて。

良いように利用されてるだけってのは知ってたけど、それでも手を抜くことなく仕事は勤め上げ、一年間のビザが満了する頃に日本に帰ってきた。デジタルフォトグラファーとリタッチャーのスキルと、独学で覚えたウェブ制作のスキルで、地元のインターネット サービス プロバイダーに入社。その後、ウェブ制作を本業にして、外資系の多国籍企業のウェブ案件を担当し、そこからモバイルやコンテンツ制作、ヘルスケアやメディカルの分野にも関わり、ついでにクリエイティブとテクノロジーの経験に加えてビジネス的な感覚も身につけ、今に至る、と。外資系デジタルマーケティングの代理店に勤務し、いろんなクライアントのデジタル施策の案件や、IT系の企業へ出向したり、何でも屋的な立ち位置で目の前のタスクをひたすらこなしてるのが平日の仕事。

一方で「日曜アーティスト」を名乗り、なにかつくったり、ひたすら書いたり、ちょっとしたイベントや企画を立ち上げてるのが、プライベートの趣味の活動。最近は「アーバンアルピニスト」名乗って都内で登らない山登りにチャレンジしたり、「大人もできるかな」っていうテクノロジーとクリエイティビティを組み合わせて面白いことして遊ぼうっていうイベントを月一で開催したり。相変わらず、いろんな企業イベントに参加してみたり、知り合いの面白そうなイベントに参加したり、たまに登壇もしたり。そんな感じ。

常にチャレンジし続け、頑張っても、それがなにかの評価や報酬に繋がるとは限らない。別に、そんなのを目的でやってるわけではない。いろんな面白い人たちと出会ったり、一緒に何かできるのが楽しいだけ。作り続けること、書き続けること、企画し続けることでいろんなきっかけとつながりを得ることができ、そこから自分の世界が広がるし、周りの人たちも何か得るものがあれば、それで良い。

そんな感じで、活動を続けています。



by t0maki | 2018-07-04 06:57 | 乱文・雑文 | Comments(0)