都築響一さんのギャラリートークでデジタルコンテンツについて考えたりなど

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都築響一さんを「写真家」って呼ぶと、「いやいや、そんな呼び方はやめてくれ」って嫌がられそうですけど、しっかりと写真集も出していて「木村伊兵衛写真賞」を受賞している時点で、かなり立派な写真家先生だと思いますが。やっぱりご本人は「作品ではなく記録」としての写真を撮り続けているとのこと。

「良い作品ですね」と言われるよりも、「これ、どこで撮ったんですか?」とか「行ってみたいです」と言われる方が嬉しいとおっしゃってました。都築響一さんのギャラリートーク。場所は、神田にある元中学校の建物を再生した複合アート施設「3331 Arts Chiyoda」。週末に開催されていた「3331 Art Fair 2018」を見に行って、都築さんのお話を伺ってきました。
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都築さんは、編集者として『POPEYE』や『BRUTUS』といった雑誌の制作に携わっていた方。東京のリアルな部屋を撮影した『TOKYO STYLE』で都築さんのことを知って、『夜露死苦現代詩』は本を購入しました。面白い人だなぁ、と。渋谷のギャラリーで、秘法館をテーマにした作品展を開催した時は見に行って、その後同じギャラリーのイベントでご本人にお目にかかりました。

都築さんが撮るのは、メディアが取り上げることのない、大衆文化のちょっと裏側の部分。秘法館、ラブホ、イメクラなどの他、ちょっと不思議な珍スポットであったり、マイクを握り締めて熱唱するカラオケの光景であったり。ある意味、「インスタ映え」とは真逆のような写真。

トークの中で、書籍のデジタル化についての話がありました。デジタル形式にすることで誰でもアクセスできるようなオープン化が実現されるはずが、書籍はDRM(デジタル・ライツ・マネージメント)によって、自由に貸し借りするのすら難しい、と。KindleやAppleも試して見たけど、作品を自由に広めるには、自分で電子化するしかない、と、ダウンロード販売とか、USBメディアでの販売を始めたそうです。

そこらへん、僕もものすごく共感します。

出版業界は不況だと言われつつも、個人レベルのいわゆるZINE(ジン)はどんどん伸びていて、誰もが自分で本をつくれる時代。コンテンツの電子化は進んでいるものの、DRMによって流通が制限される。さらに、スマホの通信量や容量の制限によって、特に高画質の写真などはなかなか電子化も難しい、と。

そこで、USBメディアでの販売、と。

実は僕も、過去に自分が作成した約1万点の待ち受け画像作品を、USBメモリに入れて販売をしたことがあります。1万点で、1万円。1点1円なのに、まぁ、売れなかったですね。デジタルコンテンツは無料というイメージがあるらしく、売れない、売れない。他にも、今まさに自分が運営している旅をテーマにしたWebサイトで、PDFで作成した記事をアップしてたり、実際に電子書籍を販売したりなどしつつ、電子書籍やデジタルコンテンツについていろいろ試行錯誤しているところ。

僕も都築さんと同じく、どんどんコンテンツが広まってくれれば良いなぁ、と思っています。そこで儲けようって気はほとんどなく、電子書籍も設定できる最安値で販売。だいたい、赤字の企画ばかりだけど、そこから生まれるきっかけとか出会いとかが楽しくてやってるだけ。何かにつながれば、それでよい、と。
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帰りに、ギャラリーショップでUSBメモリに入った都築さんの写真集を購入しました。
特製USB版、3,500円。めっちゃ安いと思うんですけど。


by t0maki | 2018-03-12 19:58 | アート | Comments(0)