世界遺産に泊まりながら「旅」の偶然と必然について考えた
2017年 04月 17日
一瞬開け方が分からず戸惑うような、古めかしいドアノブ。16世紀に建てられたチェコのリトミシュル城。世界文化遺産になっているその敷地内に泊まれるってのがすごい。明らかに後からとってつけたようなバスルームと、建てつけが間違っている浴室内の扉。まるで、現実が現実でないかのような、明晰夢の中にいるかのような不思議な感覚がする。
どこからか、音楽が聴こえてくる。屋外で音楽イベントをやっているようだ。何の気なしに聴いていて、曲目が変わった瞬間にドキッとした。
20代の頃、15日間かけて北米大陸をひとりで旅をしたことがある。当時住んでいたネバダ州のリノから、列車で2泊3日かけてシカゴへ。そこで1泊すると、さらに車中泊をしながらニューオーリンズへ。そしてまた東から西への向かい、サンディエゴからメキシコのティファナを訪れ、ロサンゼルスとサンフランシスコを巡るといったひとり旅。その時、ずっとカセットテープで聴いていたのが、Enigmaの『Le Roi Est Mort, Vive Le Roi!』というアルバム。以来、CD、iTunesと買い換えながら、ずっと同じ曲を20年間、旅行中によく聴いている。もちろん、今回の旅行中も、iPhoneに入れたこの曲を聴いていた。いわば、ここ20年くらい、僕の「旅」のテーマソングなのだ。
今でも度々旅行中に聴くその曲が、まさかの突然外から聴こえてきたのだ。ドキドキしていた。ここ20年くらいの旅の記憶が一気によみがえってきた。
なんか、不思議だよね。こうして、ここにいる自分が。チェコだよ、だって。まさかこんな風に、あれよあれよと、こんな風に来ることができるなんて思ってもみなかった。そんな、必然的な偶然が、すごく楽しい。
いつの間にか、音楽は鳴り止んでいた。静かなベッドの上で、僕は今までの旅について、そしてこれから体験するであろう未来の旅について、思いをいろいろとめぐらせていた。
by t0maki
| 2017-04-17 22:44
| ライフスタイル>旅
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