堀部安嗣さんの展示を見て、建築ってやっぱりすげぇなと思った
2017年 04月 20日

建築デザインって、すげぇなと思うんですよ。
だって、建築物をつくるのって、妥協ができないでしょ。細部まで設計し、それを確実に安全に滞りなく形にするまでがプロジェクト。場所によって歴史や気候とかも考慮しつつ。住みやすさや快適さも考えつつ、建築法などにもきちんと準拠しつつ、かつ予算内にも抑えなければいけない。その中で、自分の個性を出すということ。たくさんの人が関わるし、途中で調整も必要だろうし、いろんな問題を都度粘り強く解決していかなければならない。
あいまいなところ、あやふやな部分を残してしまうと、建物は完成しない。
しっかり、確実に設計を形にするために、図面を起こし、模型をつくり、みんなの合意をとりつつ、プロジェクトを進行していく。そして、完成したものが残るのは、作り手冥利に尽きるよね。
ちょっと前の話になりますが、TOTOギャラリー・間で開催された「堀部安嗣展 建築の居場所」を観に行きました。会社から近いので、会期中何度か訪れました。ギャラリー館長のガイドツアーにも参加。会場には、堀部さんが設計に使ったデスクや、設計図、模型、写真など、いろいろ展示されてました。で、やっぱり建築はすげぇなと思うわけです。
リズム、があるよね。その人独特の、リズム。堀部さんのリズム。パターン。雰囲気。
堀部さんの頭の中を覗きこむ、みたいな。ドラムを叩いたり、写真を撮ったり。堀部さんの趣味嗜好や歩んできた道など、すべてが建築デザインに反映されるんだろうな、とか。世界をつくる。そんな感じ。
見てみたいのは、「阿佐ヶ谷の書庫」。円形らせん状の構造の中、書物に囲まれるその空間は、実際に体験してみたい。仏壇と書庫が組み合わさってる。どこまでも、精神正解に没入できそうな、読書がはかどりそうな空間。まるで、自分の脳みそを内側から見渡すような。
石川県のお菓子屋さん「イヴェール ボスケ」のその景観に溶け込む、樹木も生かした建物。それをチョコレートで再現した模型も展示されていました。フラットで広がりがあって、暖かい感じ。堀部さんらしい設計デザイン。
「ある町医者の記念館」と「南の家」は、堀部さんの最初期の代表作。合わせて見ると、より理解が深まる。最初っからすげー人なんだと分かるよ。
「竹林寺納骨堂」も心が揺さぶられる。死者を祀る建物なのに、嫌な感じが全然しなくて、むしろずっとそこにたたずんでいたいような気持ちになる。実際、竹林寺の敷地で読書を楽しむ人もいるらしいですよ。高知県のお寺。ここはぜひ行ってみたい。たまたま、ガイドツアーをしてくださった館長も高地の出身とのこと。ちょうどこの頃、僕も高知県主催のものづくりハッカソンイベントに参加して、高知の土佐和紙をテーマにした作品づくりを体験していたので、何かしらつながりを感じて面白かった。
そうだな、高知に行かなきゃ。
最後に、船。“せとうちに浮かぶ、小さな宿”っていうテーマの、船。小さな宿と言うには、かなり豪華な船で、お値段もそれなりにするらしい。これも、ぜひ乗ってみたい。ドラムのボディにも近いシルバーの船体カラー。なんとなく、ノリノリでつくってる堀部さんが浮かびそう。家をつくるよりも、船をつくる方がある意味制約が少ないっていうのは驚き。あくまで、乗り物だから、一般的な建築法は適用されない、と。面白いな。
「堀部安嗣展 建築の居場所」
by t0maki
| 2017-04-20 08:34
| アート
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