レトリカル・クエスチョン(修辞疑問文)とお茶漬け

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英語に限らずだけど、疑問形だけど質問ではない問いかけってのがあって、マジメに応えようとすると「いや、今のはレトリカル・クエスチョンだから」ってたしなめられる。レトリカルな質問の場合、答えることは求められてない。

例えば、演説している人が「こんなことが許されて良いのでしょうか?」って問いかけるときは「こんなことが許されて良いわけがない!」って主張する時の、「修辞疑問文」なワケです。「まったく、お前たちの中でちょっとでも使えるヤツはいねぇのか?」って言う時は「お前ら全員使えねぇ」って言ってる。それを言われて「ボクだってこないだちゃんと…」と反論しようとすると、「うるせぇ!今のはレトリカル・クエスチョンだ!」ってどやされる。
出川さんの「お前はバカか?」っていう決まり文句も同じ。頭を指差しながら、「お前、バカだろ」と言ってる。でも、ホントにバカだと心の底から言ってるのではなく、会話の中で笑いの定型文として使われてる。修辞学の反語。

「君は子供の頃、親からどういう教育をされてきたのかね?」

「あなたには人間の心ってものがないの?」

「それでもお前キンタマついてんのか?」

なんか、例文が感じ悪いですが、遠回しに皮肉っぽく使われることが多いですよね。

あとは単純に「マジ?」とか、「ホント?」とかは、事実確認というより、驚きの気持ちとか相槌だったりとか。

「最近どうよ?」は挨拶なわけで、本当に近況が聞きたいわけでもなかったりする。

こんな風に、言葉の字面と言いたいことの中身がズレてることがあって、それが言葉の面白いところであり、難しいところでもある。

でもさ、京都の人の「お茶漬けでもいかが?」って言うのが「お前、そろそろ帰れよ」っていう意味だってのはホント、ミステリーすぎると思うよ。


by t0maki | 2017-01-09 15:32 | アート>もの書き | Comments(0)