プルゼニュの街を散策しつつ、チェコの言語や民族、歴史について考える
2017年 01月 06日
生まれて初めての東欧。チェコ政府観光局にご招待いただいて、チェコを巡る旅の初日。もう何もかもが物珍しくてね。観光客丸出しな感じできょろきょろと、あちこち覗き込んだり、写真を撮ったり。
この日訪れたのは、プラハの空港から車で約1時間のところにあるプルゼニュ(Plzeň)という街。チェコの西側にある都市で、ピルスナービール発祥の地としても有名です。
美しいガイドさんとプルゼニュの街を散策
語学が堪能な観光ガイドのバーラさんと一緒に、プルゼニュの街を歩いて巡りました。「英語、上手ですね。海外で勉強されたんですか?」と訊いたところ、「いえ、もともとドイツの国境近くで育ったので、ドイツ語がしゃべれたので」って答えてくれました。この日は英語を使ってガイドをしてくれましたが、普段はドイツ語でも観光ガイドをしているそうです。母国語のチェコ語と、他にもまだ喋れる言語があるとのこと。
言語学上、確かにドイツ語と英語は同じ「ゲルマン語」に属するので、どちらか片方を覚えるともう一方も比較的習得しやすいんですよね。一方、チェコ語は「スラヴ語」に属するので、スロバキア語とかなり似ていて(昔はチェコスロバキアはひとつの国だったしね)、他にもポーランド語やブルガリア語、ロシア語なんかとも比較的近い関係。
僕もアメリカの大学で英語を身に付けてから、スペイン語も勉強してみたら結構すんなりとしゃべれるようになり、卒業後にロサンゼルスで仕事をしていた時はメキシコ人夫婦の家に下宿して逆にスペイン語しか通じないようなヒスパニック系の人が多く住む街で生活してました。今はもう、きれいさっぱりスペイン語は忘れてしまいましたけどね。
チェコ共和国の民族
チェコは95%がチェコ人ですが、残り5%は多民族の「マイノリティ」で、14の民族が公式にその存在を認められています。
Belarusians(ベラルーシ人)、Bulgarians(ブルガリア人)、Croatians(クロアチア人)、Germans(ドイツ人)、Greeks(ギリシャ人)、Hungarians(マジャル人)、Poles(ポーランド人)、Romanis(ロマ)、Russians(ロシア人)、Rusyns(ルシン人)、Serbians(セルビア人)、Slovaks(スロバキア人)、Ukrainians(ウクライナ人)、Vietnamese(キン族/ベトナム人)
チェコの歴史をひも解いてみると、ローマ帝国の時代からルクセンブルク朝やハプスブルク家などボヘミアン地方はドイツ人による統治が900年以上も続き、ようやくチェコスロバキアとして独立したら、ナチス・ドイツが覆いかぶさってきて、戦後は逆にソ連による共産化とドイツ人の国外追放など、国家や民族レベルですごくいろんな歴史的変遷がありますね。
30年戦争や、オーストリア=ハンガリー帝国に統治されていた時代から、大戦後の共産化と、そこからの脱却を目指した「プラハの春」、そして1989年のビロード革命によってチェコが誕生するまで。歴史を学ぶって、やっぱり面白い。
ユダヤ教会の「シナゴーグ」
ガイドツアーの途中で、ユダヤ教会の「シナゴーグ(Velká synagoga)」の前を通ったのですが、実はこの建物は世界で3番目に大きなシナゴーグだということでびっくり。これより大きなシナゴーグは、ユダヤ教の聖地であるエルサレムと、ハンガリーのブダペストの二カ所のみ。そしてさらに驚いたのは、これだけ大きなシナゴーグが存在するのに、ユダヤ人が国内にほとんどいないという事実。第二次世界大戦前、1930年の時点では37,093人いたユダヤ人が、1991年の調査ではたったの218人に。もちろん、第二次世界大戦中の、ナチス・ドイツによる迫害が大きな要因なのは間違いない。現在、プルゼニュのこのシナゴーグは、オペラの上演や、写真展などに使われているそうです。
チェコに日本人はいるの?
現在チェコに在住している日本人の数は、1,791人(2015年10月1日現在)だそうです。たまたま、在チェコ共和国日本国大使館で日本人の方にお目にかかったのですが、日本の車メーカーの工場がチェコにできて、そこで働く日本人が増えたとおっしゃってました。
2017年は日本・チェコ国交回復60周年ということで、いろいろなイベントが企画されています。つい先日、僕もチェコ共和国大使館で開催された、チェコセンターのセミナーイベントに参加してきました。チェコ初代大統領であり、劇作家でもあったヴァーツラフ・ハヴェル氏についての講演で、ビジュアルポエトリーの作品解説などとても興味深かったです。併設のギャラリーで開催されていた、ハヴェル氏の写真展も観てきました。
2017年のチェコに関するイベント情報など、こちらのサイトでチェックしてみてください。
by t0maki
| 2017-01-06 21:43
| ライフスタイル>旅
|
Comments(0)