「ハムが落ちてた町」

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チェコ共和国のリトミシュルを歩いていたら、石畳の道路にわらわらとハムが落ちているのを見つけた。そこで僕は思った。

「リトミシュルは、ハムが落ちている街なんだな」

もちろん、これが客観的に間違ってるのは分かってる。たまたま僕がそこを通りかかった時にハムが落ちていただけで、もちろんそのハムが必ずそこに落ちているとは限らない。これが、旅の偶然性。再現性は低い。

チェコ政府観光局のご招待で、チェコを旅してきました。リトミシュルに滞在中、早朝の散歩をしていたら、道路わきにたくさんのハムが落ちているのを見かけたんだ。

例えば僕がリトミシュルに住んでいたとして、毎朝そこを通るたびにかなりの確率でハムが落ちてたとしたら、それは偶然ではなく、必然性があり普遍的な事象と言える。何か理由や目的があって、そこにハムが落ちてるというわけだ。例えば、Googleのストリートビューでその道路を観た時にそこにハムが落ちてるとしたら……?

もちろん、Google上ではそこにハムは落ちてなかった。ただし、なんらかのトラックが停まっているのが見えたので、もしかしたら積み荷を降ろしたりするときに、ハムが落ちてしまったのかもなぁ、みたいな仮説が立てられる。そこで現地の聞き取り調査をして、「そういえばあのあたりには、ハムが落ちてることが多いわねぇ」とか、「デリバリートラックの配達員がハムを落としたところを見たよ」なんていう証言を得られたら、リトミシュルのそのあたりは「ハムが落ちてることがありがち」ということになる。

研究者は、そこに落ちているハムを見たらこのように仮説を立てて検証しようとするだろう。
旅行ガイドの制作者は、そんな偶然性の高い事象は無視するだろう。
旅行記を書くライターも、「お、なんでハムが落ちてんの?」とは思ったとしても、それに関するエピソードが無い限り文章化しないだろう。

でもブロガーとしてのオレは、何を書くのも自由だし、思ったことを思った通りに書く。だからこんな風に、たまたまそこに落ちてたハムついて書いたって良い。旅の偶然性を認識しつつ、それをひとつの体験談として記事化するのだ。

やっぱり僕にとってリトミシュルは、「ハムが落ちてた町」なのだ。


by t0maki | 2017-01-20 22:40 | ライフスタイル>旅 | Comments(0)