『都市想像会議』で図書館の未来について考えてたら止まらなくなった
2016年 05月 11日

もう、トークセッションを目の前で見ながら、話に加わりたくて仕方なくって、質疑応答で質問じゃなくで普通に言いたいこと言ってみたけど全然言い足りなくてイベントの後に登壇者の方に一方的にまくしたてて一通り喋ってすっきりしたとこ。楽しかった、今帰りの電車。
「シブヤ大学」の都市想像会議というのに参加してきました。「未来の図書館」というのがテーマ。
僕は昔から図書館好きで、昨日も返却期限の迫った本を会社帰りに一気読みして、図書館に返却してから家に帰りました。今週だけで、2箇所別々の図書館に立ち寄ってる。
今回、特に公立図書館についてのトークが多かったのは、登壇者の児玉さんが、渋谷区福祉協議会の事務局長の方だから。もうお一方は、元国会図書館の柳さん。最初、モデレーターの方が図書館法とか条例の話に持ってきそうになったので「うぇっ」と思ったんですが、柳さんが良い感じに「図書館が提供すべきものとは?」っていう本質的な問題定義をしてくれて、俄然話が面白くなりました。
以下は、トークセッションを聞きながら、その話の流れはとりあえず無視して、僕が勝手に頭ん中でぐるぐる思いついたことをそのまんま書き出して見ました。イベントやトークの内容とは関係無い個人的な意見がいろいろ混じってますが。
で、「図書館は、本を置いとくだけで良いのか」という話。近頃は、ブックカフェとか、本を読みながらくつろげる場所がある。図書館は、そういう場所になれるだろうか、と。なる必要があるだろうか。
「知」を提供するのが図書館の本質的な役割。けど、ネットが普及した今、検索である程度の情報は手に入る。デジタルの情報が優れてる点は3つあるよね。
■検索ができること
これは、目的の書籍を見つけるときにも使えるし、一冊の書籍の中を全文検索するときにも使える。
■複製ができる
紙と違って、テキスト情報をコピペできる点。または、本をまるごと複製できるってこと。これは、著作権管理のために複製できないようにコピーガードをかけることもあるけど。
■更新性
これは、情報を常に更新できるという点。紙だと印刷されたらそこで情報は固定されてしまうけど、ネット上のデータなら書き換えることが可能。そして、その更新性を活かして複数の人が文章を執筆・校正できる。ウィキペディアとかね。
これによって、図書館の「知を提供する」という役割が薄まってしまった。これから図書館は、新たな価値と役割を見出さなければならない、と。
地域に根付いた文化を育成するってことが、図書館の役割になれば良いと思う。人気の新刊を揃えるだけでなく、その地域の文化を形成するテキスト情報を収集するのはどうだろう?本だけではなく、フリーペーパーとか、同人誌なども含めた、大衆文化を形として。もちろん、スキャンした良いと思う。図書館の役割として、そうした資料を収集・保管するのはありなんじゃないかな。
そもそもの話として、図書館も、博物館や美術館と同じ、ミュージアムなんだ。動物園も、水族館も、植物園も、全部ミュージアム。僕は、大学で博物館学のクラスを受講したことがあります。インターンも、ネバダ州の歴史博物館でした。だから、ミュージアムは大好きだし、図書館も含めていろいろ訪れてきました。
ミュージアムの役割は、展示品を保管・保存・修復しつつ、一般に展示公開し、なおかつ学術的に研究するということ。図書館も同じ。
「未来の図書館」ということで、単純に電子書籍をイメージするかもしれないけど、そういうことでは無いと思う。やっぱり、その「場」としての図書館の役割があると思うんだ。書籍のデジタルアーカイブ化は図書館の役割の一部になるかもしれないけど、全てがそれに置き換えられるものでは無い。
場としての図書館。そして、そこで提供するのは「体験」だと思う。
ここで、どうしても「船の科学館」の事例を喋りたくなった。だから、質疑応答の一番初めに発言しました。質問じゃなくて、ただのエピソードですが。
船の科学館の読み聞かせイベントは、子供たちにとって明らかに知的な「体験」だった。ただ本を読むだけでなく、本の内容にそった展示と組み合わせることで、知識や興味がそこから広がっていく。博物館同士で展示を貸し借りしつつ企画展を行うのは珍しく無い。それを図書館もやってみれば良いと思う。図書館と美術館とか、博物館学とか、ミュージアム同士のコラボ。
なんなら、ブックカフェや漫画喫茶なんかとも組んでやれば良い。現在の「図書館」のイメージを払拭した、新しい未来の図書館。
図書館に内に、デジタルファブリケーションの機材を導入することについて。柳さんは「大工道具」って言ってたけど、3Dプリンタやレーザー加工機、CNC切削マシンなどのデジタルファブリケーションと図書館の組み合わせは、既にアメリカでも実現していて、僕のアメリカの母校でも図書館内にプロトタイプを製作できるシェア工房の設備が導入されてます。最近、日本の大学でもあるよね。渋谷は特に、FabLabやFabCafeなんかもあって、メイカーズムーブメントの流れが既に根付いてる。
サードプレイス、つまり自宅でも学校・会社でも無い、第3の場所として、ものづくりの設備を備えた図書館は、ぜひ実現してほしい。なんてことを児玉さんにイベント後に熱弁しました。
今、乗り換えの駅の改札口前に立って、これを書いてます。書きたいことが溢れてきて、止まらない感じ。
武蔵野プレイスって面白そうですね。今度、訪れてみよう。あと、HMVの本の分類やレイアウトは、ぜひ図書館も参考にしてほしいな。もちろん、図書館は昔から書籍の分類コードが決められてるけど、それをあえて払拭して、新しくユニークな本の陳列をして欲しい。全ての図書館が紋切り型の同じ無機質な感じではなく、なかにはワクワクするような楽しくて話題になる図書館もあって良いと思う。
そもそも、図書館では声を出したり音をたててはいけないってのがネックになってると思う。それはすぐには変えられないかもしれないけど、例えば会話をして良いスペースを設けたり、あるいは図書館を離れて外に出たりなど、いくらでも工夫はできる。パブリックアートを見学する街歩きのツアーがあるんだから、図書館もブックツアーを開催すれば良い。(既にありそうかな?)
確かに、行政の構造や人員などの制約はある。予算がなくてもあり合わせのものでいろいろできるし、人がいなければボランティアを募っても良い。いろんなところとコラボするのも良いと思う。
未来の図書館について考えるの、すごい楽しかった。思いつきでガシャガシャ書いちゃったけど、また引き続きいろいろ考えてみたいトピックです。
司書とキュレーターのこととか。地域資源。書籍のプロデュースを図書館がやるとかね。銀座のアートギャリーで僕も出品したことのある、自作の書籍や雑誌などを展示する「zine展」とかもやってみたら面白そう。あぁ、書きたいことが止まらない。
「文化を育成する体験の場」としての新しい図書館づくり。これは、つくるのを想像するだけでワクワクする。

『都市想像会議』
第4回「図書館×都市」未来の図書館を想像しよう
日時:2016年5月11日(水)19:00~21:00
教室:Shibuya Hikarie 8F クリエイティブスペース 8/
by t0maki
| 2016-05-11 18:55
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