石川直樹さんの写真展で、共鳴する2つの世界が見えた
2016年 04月 11日
カナダ大使館にある高円宮ギャラリーで開催中の石川直樹さんの写真展を見てきました。
石川さんは、若いころから世界の山々を登ったり、北極点から南極点まで旅をしたり、探検家であり写真家という肩書をお持ちの方です。
写真だけ見ると、良い意味でいわゆる「プロ」っぽい写真じゃないんですよね。例えば、「ここを切り取れば構図的に素晴らしい作品になるのに」とか、「あとちょっと撮るアングルを調整したらバランスが完璧なのに」っていう、なんとなく「惜しいなぁ」っていう撮り方なんですが、それが写真の味になっていて、石川さんの個性なのだと思います。気取らずに、ありのままを撮ることで、かえってその場所の迫力や凄さが伝わってくる。あえて必要以上に構図にこだわったり、美しい写真を撮ろうとはしていないように見えます。一見不要に見えるものも含めて、そこにある空気感を写真に収めて、伝えるという。
僕もどちらかというと、見た目や構図が美しいだけの写真より、背景の余分な写りこみも含めてストーリーを感じさせるような写真を撮るのが好きなので、石川さんの写真は良いなと思います。その場所の空気感が伝わってくるので。
石川直樹さんは、早稲田大学で歴史民俗を学んだ後、東京芸術大学の大学院を修了して美術博士の学位を取得。23歳の時に、日本人としては5人目の七大陸最高峰登頂を成し遂げ、同時に当時野口健さんが持っていた世界最年少登頂記録を更新。また、カナダの冒険家マーティン・ウィリアムスが企画した「Pole to Pole2000」というプロジェクトに参加して、9ヶ月間かけて北極点から南極点を旅する企画にも参加し、その企画が終了した後に一人南極に残って、ヴィンソン・マシフっていう4,897mの山を登頂しちゃったりもしています。ホント、すごい人だ。
たぶん、石川さんにとっては写真はその体験を伝えるための、対話の手段なのかもしれないな、なんてことを考えつつ。
今回の写真展では、石川さんが訪れたカナダのアルバータ州と、北海道で撮影した写真が展示されています。姉妹州県でもあるこの2都市は、地形や気候以外にも先住民が存在する文化的な側面など、さまざまな共通点があります。二つの都市がそれぞれの写真を通じて繋がり、共鳴する感覚をぜひギャラリーで味わってみてください。
石川直樹さんの写真展、『Across Borders: Naoki Ishikawa』は、高円宮記念ギャラリーで6月30日まで公開されています。
『Across Borders: Naoki Ishikawa 石川直樹写真展』
http://www.canadainternational.gc.ca/japan-japon/events-evenements/gallery-20160202-galerie.aspx?lang=jpn
日時: 2016年3月3日(木) ~ 6月30日(木)
平日:午前10時から午後5時半まで
水曜日:午前10時から午後8時まで
土、日、3月25日(金)、3月28日(月)は休館
場所: カナダ大使館 高円宮記念ギャラリー
(東京都港区赤坂7-3-38 地下鉄「青山1丁目」駅より徒歩5分)
入場: 無料
※入館には身分証明書の提示が必要です
by t0maki
| 2016-04-11 22:30
| アート
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