「アンバサダー・マーケティング」について改めていろいろ考えた

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先日、アンバサダー・マーケティングについて詳しい方とじっくりお話しする機会があって、僕自身もいろいろ気づきがあったり、「あぁそういうことか」って腑に落ちる部分もあったりして、とても勉強になったので書き残しておきます。

話の内容の詳しくは書けないので、アンバサダー・マーケティングの全般的なことについてのみ。普段思ってることとか、そんなのも含めて。

アンバサダー・マーケティングっていうのは、企業なりブランドなりがお客さまの中から特に製品・サービスの「ファン」であり、かつある程度発信力を持った人たちと協力して、ブランディングやセールス活動、あるいは開発なども含めて、「お客さまと一緒に盛り上げていこう」っていうような感じのマーケティング施策です。ここで大事なのは、アンバサダーになってくれたお客さまにモノを売りつけるのではなく、アンバサダーさんたちと一緒に売ろう、っていう点。

以前からよくある、タレントや有名人を起用した「アンバサダー」とは全く違うものです。

もともと、アメリカでは「Brand Advocates」というブランドの推奨者を育てるというような広告手法でしたが、日本では「アドボケイツ」という単語になじみがないので、「アンバサダー」が定着しつつあるようです。

インターネットが普及して、製品やサービスの情報を検索するようになると、そこで自己発信してくれているファンの意見が大切になってくるわけで、そういうインバウンドマーケティングの具体的な施策の一つとしてアンバサダーマーケティングが登場した、という感じですかね。

テレビCMや新聞広告のように、単発で広くたくさんのひとにリーチする手法とは異なり、どちらかというとコンスタントにコミュニケーションを図り、育てていくようなマーケティング手法。

外部の営業マンという役割だけでなく、カスタマーサポートであり、ヘルプデスクであり、開発サポートだったり、いろんな側面があります。

僕自身も、いろんな製品・ブランドの「アンバサダー」をやらせていただいています。主なものは、以下の通り。

・ナノブロック アンバサダー
・Xperiaアンバサダー
・Galaxyアンバサダー
・アイロボット ファンプログラム
・クロネコヤマト アンバサダー
・ローソンアンバサダー
・すむすむ アンバサダー(パナソニック)
・格安スマホ アンバサダー(楽天モバイル)
・タブレット アンバサダー(ドコモ)
・ドールファンクラブ
・Red Bull Friends
・Frosch People
・スカパー!映画部
・プレ熟部(江崎グリコ)
・オールブラン アンバサダー
・ベストカーアンバサダー
・シャボン玉石けんアンバサダー
・キクタン・アンバサダー(アルク)
・KFCアンバサダー

もう既に、活動としては終わってしまっているものや、あるいはあまり参加できていない「幽霊部員」みたいなアンバサダーも含まれていますが、ざっと自分が参加しているアンバサダー施策はこんな感じ。

結構がっつり、いろんな企画に参加しているものや、もっとカジュアルにメルマガが送られてきて、たまにモニターとして製品が来るだけのものであったり、施策は会社によって様々です。

もうひとつ、カナダ観光局さんから「オーロラ王国ブロガー観光大使」に選んでいただき、カナダへオーロラを見に行ってきましたが、これはどちらかというと、旧来のアンバサダーに近い形かも。

アンバサダー・マーケティングについては、参加するのもそうですが、自称「アンバサダーマーケティングのアンバサダー」ということで、本業が広告代理店であることもあり、国際大学で1日講師としてeマーケティングを教えた時は、ソーシャルメディアやアンバサダーマーケティングをテーマにして授業を行いました。あと、まぁ、アンバサダーサミットについては、取材としてプレス席にちゃっかり座ってたり。

何が言いたいかというと、メディアがどんどん変わっていく中で、マーケティングや広告の手法も必然的にどんどん新しくなっていく、と。従来のように、「大きな声」で「たくさんの人」に製品名を連呼するようなインパクトのある派手な広告も大事ですが、それよりももっときちんとユーザーとしっかりコミュニケーションをとって、伝えたい人に伝えたい情報をきちんと伝えるというような手法が必要かと。

スーパーやコンビニができる前って、結構近所のお店とか商店街とかって、自然とこういうことができてたんですよね。お店とお客さんのコミュニケーション。それがいつの間にかお店と客との間に壁ができて、自由に会話もできなくなった。面と向かっての会話は難しいけど、時間と場所に制約されないインターネットの世界なら、それが可能、と。

「アンバサダーの役割が自分の好きな製品・サービスの推奨行為だとすると、そのモティベーションってなんなのか?」

先日の話で出てきたトピック。
これを質問されて、改めて自分のモティベーションについて、なぜその製品をおすすめするかということについて、じっくり考えてみました。

気に入った製品だから。
良いものを周りの人にも使ってもらいたいから。
それを使ってもらうことで、なんとなく「仲間」みたいな気がする。
つまりは、製品やサービスをフックに、みんなとつながりたいから。

なのかなぁ、と。
情報発信については、承認欲求だというのも間違ってない。
隣の席の同僚にお勧めする場合は?旅先で、「これイイよ」って教える場合は?

観光大使でカナダに行って、僕はデジタルカメラをみんなにオススメしたんですよ。シャッター切るだけでオーロラが撮れる。しかも、設定を変えたらタイムラプス動画も。その写真や動画を見せながら、僕はたしかにその時「キヤノン PowerShot S120」の非公式アンバサダーでした。

そう、その時もし僕が、公式なアンバサダーだとしたら、消費者とメーカーをつなぐ、それこそセールスパーソンだったに違いない。でも、その時の僕はただのカメラファン。

その推奨行為を、メーカーなり企業なりがきちんと見てくれて、バックアップしてくれたり、サポートしてくれたとしたら。
うん、それは素晴らしい体験だよね。

メーカーと、消費者をつなぐ立場の、アンバサダー。
広告塔ではなく、むしろ小さな杭ぐらいの感じだけど、でもその杭がたくさん集まって、つながれば、大きなフェンスになる。

アンバサダー・マーケティングって、そんな感じかな、と。
by t0maki | 2015-10-21 12:06 | アンバサダー | Comments(0)