『東京の未来を学ぶ〜2020年の予想図〜』
2015年 04月 15日

「ARTS FIELD TOKYO」の講義を受講するの、かなり久しぶり。
今回参加したのは、こちら。
『東京の未来を学ぶ〜2020年の予想図〜』
【Vol.1 上野ー秋葉原が変わる!?「東京文化資源区」とは?】
http://artsfield.jp/lecture/000384.html
会場は、いつものとおり3331 Arts Chiyoda。旧中学校を再生して建てられた、複合アート文化施設です。
今回の講師は、東京大学教授副学長の吉見俊哉さん。
『東京文化資源区』の調査委員会メンバーとのこと。
この、『東京文化資源区』が何なのかっていうのを説明すると、上野、谷根千、本郷、神保町、秋葉原といった東京都心北部の半径2キロ圏内をまるっと文化の中心地として盛り上げよう、と。そのために、文化施設間の導線を考えたり、移動手段(路面電車的なものか、あるいはバス)を検討したり、伝統文化もポップカルチャーも全部ひっくるめて「文化資源」として相乗効果で価値を高めよう、と。僕の理解はそんな感じです。
この吉見先生のレクチャーが、まぁ面白い。
東京の都市の成り立ちとか、それぞれの地域がどのように成り立って行ったかとか。戦後、オリンピックを契機に東京がどっと変わっていったその流れがよく分かりました。
僕は、結構この『東京文化資源区』の対象になっている地域を以前からうろうろ歩き回ってます。元々、勤め先が神田・秋葉原と御茶ノ水、神保町に囲まれたあたりにあったので、ここらへんは馴染みのエリア。確かに、文化施設がいろいろあるし、神田の古書街や、上野の博物館・美術館・動物園エリア、東大や芸大、明大、デジハリなどの大学もあり、アキバのポップカルチャーも含めて日本の文化を形成しているエリアと言えますね。
特に、湯島聖堂は僕の昼休みの散歩コースでした。今でも、毎年ここで開催される筑波大学の「彫塑展」は必ず訪れています。古い湯島聖堂の建物と現代アートの彫刻がすごくマッチしてて、素敵な作品展ですよね。谷中のHAGISOはそれこそ改修作業中に偶然おじゃまして、オープンしてからもギャラリー展示を見に訪れたり。
あとは、とにもかくにも、3331 Arts Chiyodaはいろいろ個人的にもお世話になっていて、教室を共同アトリエと言う形で会社帰りにいろいろ創作活動をそこでしたりなど。今でも、ギャラリーショップのCUBE(ボックスエリア)で、作品をちょこちょこ売ったり、時々ワークショップをしたり。
そう、それで、この「東京文化資源区」の地図を見ていて思ったのは、ほぼまんべんなくあちこち歩き回ってるのですが、確実に行ってない場所がある。
それが、東大とか東京芸大などの、大学施設なんですよね。文化資源をまとめることももちろん大事ですが、そこに一般の人がアクセスできなければ意味がないと思ったんです。なので、その質問をそのまま吉見さんにぶつけてみたところ、やっぱり東大が地域住民に門戸を広げて交流を図ることは難しいだろう、と。吉見さん自体がそれを望んだとしても、それはなかなか実現できそうにない。
ただ、そこから議論がポンと一歩進んで、例えば学内ではなく、共通の「場」をつくって、例えば東大と芸大の所属を超えて文化交流できるコミュニケーションの場を設ければ良い、と。
よく考えたら、その日、3331がまさにその「場」だったんですよね。東大副学長の吉見さんがプレゼンして、で、3331統括ディレクターの芸大准教授の中村さんが質疑応答に参加してたりもして、「あぁ、そうか。自分は今、そういう文化資源区の真ん中にいるんだ」っていう実感がありました。で、一気にこの「東京文化資源区構想」ってのがリアルに感じられるようになりました。
「不忍池あたりに10億くらいかけて新しい施設を」っていう話も出ましたが、行政やスポンサーに頼って新しい施設を建てるより、こうした地域に密着してしっかりと根付いた既存の施設を見直して、リノベーションして、活用するのが大事だと思います。そういった意味で、3331は重要なキーとなる場所になるんじゃないかなぁ、と、勝手に妄想しておりますが。
あともうひとつは、この文化資源に対して、「インターネット」はどのように関わるんだろうか?という疑問。確かに、統合的デジタルアーカイブの構築は計画の中に含まれていましたが、それだけではインターネットの利点や特性は十分に生かすことはできないと思うんです。インタラクティブ性であったり、誰もがネットメディアで発信できるという部分。でもそれは、知識をシェアする場を設ければ、あとはもう、参加者が勝手にブログなりソーシャルを使って拡散していくのではないかな、と。むしろそれは、何か施策をするというより、時代の必然的な流れだと思います。
というようなことを、このブログを書きながら考えたり。
吉野先生みたいな方が、こんな風に大学の外にでて僕らに向かって語ることで、この「文化資源区」はどんどん現実味を増していくんじゃないかなと思います。いろいろ考えて、どんどんアクションにつなげていけば、少しずつ確実に形になっていくと思います。
あとは、人々がそれを「求めているか」ということ。
どんなにすばらしい構想でも、それを求める人がいなければ、単なるプランで終わってしまう。
無理やり当てはめたところで、定着せずに風化してしまう。
そこで必要なのは、コミュニケーションが大事だよな、と思います。都市づくりのためのコミュニケーションデザイン。これは面白そうだな。
とにかく、東京五輪がもうすぐやってきて、この街もいろいろ変わっていくのは間違いない。都市について考える、良いセミナーでした。
by t0maki
| 2015-04-15 23:25
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