「FabLab」について田中浩也さんの講義を聴いてたらワクワクが止まらない
2014年 05月 25日
例えとして一番分かりやすいのが、音楽業界なんだな。パソコンとインターネットの発達によって、音楽の制作から流通の仕組みまでガラッと変わった。もちろん、それは書籍も、テレビやラジオでも、みんな当てはまる。
で、そのテクノロジーによって根本的なインフラから変革を遂げようとしてる分野に、3Dプリンターに代表されるような「ものづくり」も加わろうとしている。そんな中での、草の根的な市民工房が「FabLab」である、と。
3331 Arts Chiyodaにて、AFT(Arts Field Tokyo)が開催した『「FabLab」の"ものづくり"革命 〜つながり、共有する新たなものづくり〜』というセミナーイベントに参加して、日本のFabLabの草分け的な存在である田中浩也さんの講演を聞いてきました。
昨今のテクノロジーって面白いですよね。パーソナル化とグローバル化っていう、一見両極端なものが融合して、新しい文化が構築されようとしてる。工場レベルのコンピュータや制作加工機器が、個人レベルで利用できる時代。そして、インターネットによってそれが世界レベルでつながる、と。
「大量生産」に変わって、「適量生産」の動きがあるということ。必要な分だけつくる、と。オンデマンドともちょっと似てるかな。インドのFabLabで、アンテナをつくった子供がいた。小さな集落で、60軒くらいの家庭が、みんなこぞって各自そのアンテナをつくって利用したっていうエピソードが興味深かった。必要な分だけ、自分達でつくる。ある意味、ものづくりの自給自足。3Dプリンターの意外な使われ方として、壊れた製品を修理するために、差し替え用のパーツを3Dデータで入手して出力する、と。そういう、パーツデータを集めたサイトがあるらしい。
本人の体型を3Dスキャンして、身体に合ったギプスや義肢を作成したり、発明品のプロトタイプをつくったり、様々なシチュエーションで3Dプリンターは活躍しています。そんな中、大学のキャンパスに設置された3Dプリンターでもっとも多くつくられてるのが、iPhoneケースらしいって、なんとものんびりとした話でいかにも日本の学生さんっぽいけど、中に本気ですごく面白いことやってる人たちもいるみたい。漢字の書き取りで三つずつ書けるツールとか、自分の脳みその3Dプリントも面白いけど、さらにもっといろいろできそうだけどな。
世の中の仕組みが変わってく。FabLabが面白いなと思ったのは、その場所が単なる製造加工機器を一時的に貸してくれるだけでなく、ものづくりに関わる人が集まり、知識や技術を共有するコミニティーであり、そういった新しい形のプラットホームになっているということ。僕はまだ訪れたことがないので、どこまでそれが現実であるかはわからないけど、少なくともそれがFabLabの理想とするところらしい。ナレッジシェア。オープンソース。それが実現できているとしたら、ほんとに素晴らしいことだ。
FabLabが一過性のムーブメントではなく、きちんと今後のものづくりのプラットホームになるためには、やはりどうしてもビジネスとして成り立つための収益についても考えなければならない。運営側もそうだし、参加者のメリットとしても。オープンソースの適量生産でそれは可能なのか。単なる、地域振興のための施策で終わってしまうのか。
国内でFabLabを立ち上げようとしている方々も、会場には何人もいらっしゃったみたいでした。今後、どんな形で進むのか、すごく興味があるとともに、ぜひFabLabに行ってみたいと思いましたよ。むしろ、この市民工房を立ち上げるって事がどうにも本当に面白そうで、そんな意味でもかなり惹かれています。
そんなワケで、実りの多いセミナーでした。講義の間中、ワクワク感が止まらず、2時間がホントにあっという間でしたよ。
by t0maki
| 2014-05-25 01:56
| アート
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