ある意味運命的だった『ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡』との出会い

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たまたま配給会社の社長さんとイベントでお目にかかって、話をしてみたら共通の知り合いの方がいたりして奇遇だなぁ、と。そん時に見た映画のプレビューがすごく良さそうだったので、観たいなぁと思いつつ、「まぁいつか機会があったら」とか考えていたのですね。

そしたら、こないだ知り合いの方がキュレーションする作品展のオープニングに行ってみたら、映画館がすぐ近くって気づいて、レイトショーに行ってみたんですよ。

『ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡』っていうドキュメンタリー映画。

なんかね、不思議な縁となりゆきでその場に導かれたような感じで。すごく運命的な出会い。
「これで映画がつまらなかったら最悪だなぁ」とか思ってたら、なんだこれ、すごい感動。脳天と心臓にガツンと突き刺さる感じで、スクリーンに見入ってしまいました。あまりに集中して観てたので、ドリンク買ってホルダーに入れてたのも忘れてたくらい。

アートについてとか、貨幣経済とか、ごみ問題とか、職業について、人間の尊厳とか、プライドとか、やる気とか、まぁ、いろいろ頭ん中でめぐりめぐりました。

かいつまんで説明すると、まず「ヴィック・ムニーズ」っていう現代アーティストの人がいて、この人がニューヨークで成功をおさめた後、故郷ブラジルで作品制作をするっていう内容なのですが、ゴミやがらくたを使ってポートレイト作品をつくるという。

あ、ネタバレあるかもしれないので、一応。ドキュメンタリーなので、筋が分かっても楽しめるとは思いますが。

で、ごみアート制作のために、世界最大級のごみ処理場「ジャウジン・グラマーショ」に訪れ、そこで“カタドール”という、リサイクルのためにゴミを拾う人たちと出会うわけです。
ゴミ処理場で、劣悪な環境の中で生活する人たち。でも、カタドールたちはまじめに、誇りをもって仕事をしている。
僕が思ったのは、これって現代社会の採集民族的な生活なのではないか、と。食べ物を採集するのではなく、この場合はリサイクル品としてお金になるゴミを拾っているだけ。
その姿は、どことなく牧歌的でさえある。

でも、なんだかんだいってもその仕事は最底辺の職業であることには間違いなく、他に仕事がない人たちが集まっているのは確かなわけで。そこから抜け出したいと思っている人もいて。

ヴィックは、そんな“カタドール”の肖像画を大量のゴミやがらくたで制作しました。モデルになった人たちが、アートスタジオでごみを並べる制作も手伝っています。

すると、肖像画のモデルになった“カタドール”たちにも変化が現れます。作品が有名になり、自分たちも注目と脚光を浴びてからどうなったかは、映画のエンディングを見てください。

「15 minutes of fame」っていう言葉があります。誰もがいつかは、「15分だけでも、有名になれるよ」っていう意味。

誰でも、注目されて、有名になったら、なにかしら変わることができるんじゃないかな、と。他人から認められること、称えられることで、その後の人生も変わっていく。

僕も、まぁそうなんだろうな。褒められたり、認められたりするとうれしいから、また頑張ろうっていう気になる。

こうやって、ブログを書いているのも、根源的にはそんな意識が働いているのだと思う。

とにかく、良い映画でした。
なんかいろいろ「きっかけ」をいただいたような、そんな感じです。
by t0maki | 2013-08-15 21:29 | ライフスタイル>映画・書籍 | Comments(0)