満員電車のクジラ

 殺人的凶悪すし詰め通勤列車で、クジラのような巨漢の男が立ったまま気絶していた。
 
 満員電車は失神したクジラを乗せ、そのまま何事もないように走っていた。
 クジラは電車の揺れに合わせて頭をグラグラさせ、たまに白目を剥いたまま、こちらに顔を向けたりした。
 
 超過密おしくら饅頭満員電車なので、失神したクジラは意識を失っても倒れることができない。
 周囲の人間も、まるで気づかず、あるいは気づいても気づかないフリをしながら、ひたすら駅にたどり着くまで耐え忍んでいた。
 
 その後、クジラがどうなったのか、僕は知らない。
by t0maki | 2005-05-29 23:33 | アート>もの書き | Comments(0)

書くこと、つくることが好き。旅をしながら写真を撮ったり、製品レビューをしたり、思いつきでいろんなところに飛び込んでみたりします。英語と走ることが得意。

カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31