雨滴が着地するその瞬間

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台風が近づいているとのことで、外は大粒の雨が降っている。今朝のニュースでは、高波で通行止めになりそうな海沿いの道路から、気の毒なアナウンサーが飛ばされそうになりながらレポートしていた。「大雨の地域の方は、気を付けてください!すぐに避難できるように、準備してください!」

窓から眺める東京は、確かに雨は降っているが、いたって平穏だ。傘をさして外へ出た。

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ここのところ、散歩が日課になっている。一日一万歩をあるきたいのだが、平日はなかなか時間が取れない。だから、週末の時間のある時にある程度まとめて歩くことにしている。雨が降っているくらいでは、休む理由にはならない。むしろ、雨の中を歩くのも面白い。

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この日は、都電の一日乗車券を買って、路面電車に揺られながらあちこち訪れた。始発の三ノ輪橋駅から終点の早稲田までは、片道1時間弱。途中、飛鳥山駅で降りた。駅名にもなっている飛鳥山に登る。山と名前がついているけれど、地図上の山ではない。都内によくある、山と名の付く丘や台地の地形で、国土地理院としてはそれらを山とは認めていない。海岸沿いから見て「山の手」は、山の方ではあるが、実際に登ってみるとそこは山ではなく高台に近いのだ。

昔から、山の方には偉い人や金持ちが住んでいる。町が見渡せる、高いところに住むのがステータスらしい。大名屋敷が近代の富豪の家になりかわり、今では公園になっている場所が多い。飛鳥山も、徳川吉宗が造成し、渋沢栄一が住んでいたお山である。

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雨が降る飛鳥山公園で、僕は雨の雫を撮影することにした。キヤノン製のデジタル一眼レフカメラEOS 80Dが散歩のお供。水たまりを真横に近い角度から撮影。絞りはなるべく開いて、前後のボケをつくる。いろいろ試行錯誤をしながら、だんだん思い通りの写真が撮れるようになってくる。ひたすらシャッターを押し続け、20枚に1枚くらいはそれなりに面白い写真が撮れるようになった。

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刹那の瞬間。そこに捉えられる、雨粒の跳ね返り。ぱしゃんと跳ね、コロコロコロと転がって、水たまりと同化する。次から次へと、突入する雨の雫。
息を止めて、シャッターを切り続ける。

そして、写真を見返すと、時々息をのむような写真がそこに見つかる。20枚に1枚の、奇跡のような瞬間。

雨の日の足元には、こんなドラマがある。

by t0maki | 2020-10-18 15:35 | ライフスタイル>旅 | Comments(0)