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夏の終わりの禅と蝉
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ベンチに座っていると、背の高い老人が近寄ってきてこう言った。
「暑いね」
「暑いですね」
「どうだった?今年の夏は」
老人は歩みを緩めずに聞いた。
「悪くないですよ」
僕が答えると、それを聞いているのかいないのか、老人は空を見上げて呟いた。
「蝉の鳴き声がすごい」
「そう、蝉といえば、先週行ってたタイで……」
僕が話し終わる前に、老人は立ち去って行ってしまった。

タイにも、蝉がいた。でも日本のように所構わずいるのでは無く、カブトムシが特定の木に集まるように、森の中ところどころ特定の木でだけ鳴いてるようだった。

タイの前は、大阪を訪れた。午後に着いてその夜に夜行で東京へ戻る弾丸ツアー。「タイ観光アンバサダー」として招待いただいたのだが、その旅はまるでナビゲーターやコーディネーターがいないミステリーツアーみたいな感じで、船の上からタイ語の会話を聞きながら天神祭を眺めるという不思議なものだった。なんとなく、リアリティのないパラレルワールドのような感覚は、タイに行ってる間も感じていた。

この夏の出来事。

日本人としてのルーツを探る北海道とニュージーランドの旅。今年の工作ワークショップはいつもの3331と、新たに百貨店の二本立て。そういえば、ハングアウトを使って陶芸を使った作品発表も行った。郡山のアートイベントの集まりに顔を出し、岩手のアートイベントの資料作りを手伝う。そういえば、西会津のゲームづくりを手伝うことになった。テンプル大学に二ヶ月間通ってみっちり英語で小説の書き方を覚えた。その後、カフェトークのスカイプを使った授業で軽く英会話と、英語でインスタグラムを更新する方法を学んだ。そうだ、そこでも小説の書き方を受講中だ。勉強会で文化について学んで、そして自分も勉強会で教えた。相変わらず、ブログは書き続けてる。行き帰りの電車の中。あるいは昼休み。時間があればどこでも。3年半前のオーロラ旅から使ってたカメラが壊れ、新しく一眼レフを買った。あぁ、そういえばフィルムカメラを使ったキッズ向けの写真講座の手伝いもした。山ほど製品レビューを書いて、家にたまったガジェットも山のようになってる。資料づくりのために翻訳の作業と、いくつかウェブメディアに寄稿と、旅の記事と、まだまだやってくる製品レビューと……。

「暑いね」
老人が逆方向から現れて、さっきと同じ質問をしてきた。
「暑いですね」
「どうだった?今年の夏は」
「悪くないですよ。ホント、悪くない。そういえば今僕、そこで通訳案内士の試験を受けてるんですけどね……」
老人はそのまま通り過ぎて行った。

蝉が鳴いてる。


by t0maki | 2016-08-23 12:41 | Comments(0)

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