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「マインドコントロール」合宿に巻き込まれた思い出
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今から20年くらい前、ふとしたきっかけで僕は統一教会が主催する布教合宿に、それと気づかず参加してしまいました。

何か面白そうなことがあるとすぐに首を突っ込む性格が、この時ばかりは災いして、いわゆる「マインドコントロール」の現場に巻き込まれてしまった、と。

確かにそれは「洗脳合宿」って呼ばれるものそのもので、最初は宗教色が全くない「勉強会」という形式で歴史や哲学的な分野の講義やワークショップが中心だったのですが、後半になってその合宿が「統一教会」のものであることが明らかにされてからは、教祖である文鮮明氏の写真が掲げられ、ひたすら統一教会についての歴史や教義の説明に。

「合宿」なので途中で帰るわけにもいかず、外界からの一切の情報から隔離されているなか、周りの参加者が次々とその宗教を受け入れていくのは、なんとも現実離れした光景でした。


その合宿中、こんなことがありました。

合宿の期間も終盤に差し掛かった頃、夜中に参加者の一人がおびえた口調で僕にこう囁いてくるのです。

「……盗聴されてる。俺ら今、盗聴されてる」

不安にかられ、妄想にとりつかれた彼の精神状態は、明らかに正常ではありませんでした。
そしてもっと驚いたのは、その翌日に彼は晴れ晴れとした表情で僕にこう言ったのです。

「全部分かった!謎が解けたよ」

彼は完全に、その宗教の信者になっていました。統一教会のスタッフと個別に面談をしたところ、彼の中で価値観が大きく変わるような何かがあったらしいのですが、詳しいことは僕にもわかりません。

閉鎖された空間で、偏った情報を延々と聞かされ、時に恐怖心や罪悪感を煽られ、醜い不幸な現実を突きつけられる中で、ふと救いの手が差し伸べられると、それにすがってしまう気持ちは十分すぎるほど理解できます。

でも僕は、信者にはなれなかった。

「統一教会」そのものの活動やイメージはともかく、僕がそこで知り合った同年代の人たちは、みんな素晴らしい人たちばかりでした。
知的好奇心が旺盛で、映画や本と音楽が好きで、人を思いやる心を持った優しい人たち。

詳しい説明は省きますが、彼らとの出会いは、僕が16ミリの白黒映画フィルムを片手に、暗い気持ちで渋谷駅を歩いていたとき。なんとなく、フラフラと声をかけられるままについて行ってしまったんですよね。

そして、そのまま渋谷のマンションの一室、「サロン」のような雰囲気の場所で、そこにいる人たちととりとめもなく語り合い、その後時々遊びに行くようになりました。ようやく自分の居場所と、本当の友だちを見つけたような気がしたのです。
「大学の混成サークル」という風に聞いていたのと、僕もバカではないので事前に「何か宗教的な団体なのですか?」と質問したところ「宗教とは無関係」という返事をもらっていたので、それをずっとそのまま信じてました。まぁ、バカですわな、オレ。

それが統一教会のグループだって、合宿中に知った時のショック。なぜ、最初から正直に明かしてくれなかったのだろう、と。少なくとも、僕が質問をしたときに正直に答えてくれていたら、こんなに悲しい気分にはならなかったのに。統一教会がどうこうより、僕はその信じていた友人たちに裏切られたのが辛かった。

というわけで、統一教会の教祖、文鮮明氏が亡くなったっていうニュースを電車の中吊りで見かけて、当時のことを思い出してこれを書いてみました。

あの時出会った人たちは、いま何をしているのかな。

by t0maki | 2012-09-07 00:00 | 乱文・雑文 | Comments(0)

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