ブログトップ | ログイン
一人でいることとか
 こんな風に毎日満員電車に体を押し込みつつ、ごみごみした都会で暮らしていると、「一人で空間を占有する」ことがたいへんな贅沢のように感じます。レストランやお店を貸し切りにするのは、かなりお金がかかりますからね。
 
 以前僕は、他に観客が全くいない状態で、一人きりで映画を見たことがあります。結構遅い時間にぶらりと立ち寄った場末の映画館。上映する映画も最新のものではなく、メジャーな映画館で配給が終わったようなものばかり。チケットを買って入室したら誰もいないので、一瞬劇場を間違えたのかと思いました。けれど、時間通りに映画が始まり、映像が写るスクリーンをぼんやりとを眺めながら、「もし僕がここにいなかったら、この映画は誰にも見られることもなくただ上映されていたんだろうなぁ」と考えてたら、なんだかちょっと不思議な気持ちになりました。
 まぁさすがに誰も見に来ないような映画だったので、作品自体は激しく面白みに欠けるものでしたが……。
 
 そういえば、プールでも一人になったことがあります。
 地元の町民水泳プールで、閉館時間が近くなったらみんな上がってしまい、泳いでるのが僕一人になってしまいました。
 たった一人で泳いでいる僕を、二人のプール監視員が黙って見守っている様子は、なんとなく気恥ずかしいものでしたよ。
 
 それが好きか嫌いかは別として、なぜか今まで僕は一人でいることが多かったように思います。
 高校時代は陸上部で、孤独な自分との闘いを日々繰り返してましたし、大学時代はアート学生で、深夜や明け方まで制作室に閉じこもって創作活動をしていました。別に人といるのが嫌いなわけではないのですが、でもまぁ、時々なんとなく一人になりたいことも……。
 
 二十代の前半に、ネバダの沙漠を自転車で走ったことがあります。
 地平線に吸い込まれるように延々と続いているハイウェイの脇をひたすら走り続けていたら、不意に視界から人も家も自動車も全て消えてなくなっていていたことがありました。どこまでも続く道路の他は、むき出しの地面と、そこにこびりつくように生えているわずかな植物。そして、地平線と交わるように透き通った空がずっと広がっているだけ。
 孤独はまったく感じませんでした。
 見渡す限り全ての景色がただ僕のためだけにそこに存在しているように感じられ、なんだかわけも分からず歌いだしたいような叫びだしたいような気分になり、ひたすら上機嫌でペダルをこぎ続けました。
 むしろ、重苦しい孤独を感じたのは、僕がその旅から帰り、ルームメイトのいるアパートに戻ってきた時。明るい室内で友人達が思い思いの格好でテレビを見たり喋ったりしているのを見て、なんだか猛烈に寂しさを覚えたことを記憶しています。
 
 一人でいることによる孤独よりも、周囲と「ズレ」てしまったことによる孤独の方が、救いようがない分さらにツライですよね。

by t0maki | 2005-05-12 09:35 | 乱文・雑文 | Comments(0)

<< てんとう虫が飛んでった     ネットユーザーの5人に1人はブ... >>
Back to Top